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【番外編完結】「醜い」と嫌われた豚令嬢、三年後に元婚約者に嫁ぐことになりました ~ただし離婚前提です~  作者: ボボブラ汁
番外編 ケンカップルの姫始め

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結婚した理由

 クライヴは仁王立ちになった私を見上げた。


 整髪していない黒髪がサラッと額を滑り、私はそれをクシャクシャにしたくなった。


 私の気持ちなんて知らない彼は、軽い調子で結婚した理由を、指を折りながらあげ連ね始めた。


「まあ一つは、披露パーティー用の料理をキャンセルするのがもったいなかったからだな。前日は百パーセント支払いなのだよ」


 ええ……知ってた。そういう人だって。


「もう一つは、招待客に迷惑がかかるから」


 はいはい。


 私はへたり込むように座り、三つ目の指を曲げ、一緒に数えた。


「あとは?」

「君を……俺のものにしたかったから」

「はいはい……っ?」

「それと、君を抱きたかったから」


 飄々とした顔で、指折り数えていく彼を見ながら、私はカクンと顎を落とす。


「ちょっと……なな、何言ってるのよ」


 からかってるんだ。いつもみたいに。


「真面目に答えなさいよ、侯爵家と親族になって箔を付けたかったとか、妹をヒューバート兄様に取られた腹いせとか、そういう打算的なやつ」


 私の顔に手を伸ばしてきた。え?


 ええ?


 長い指が私の頬に触れ、唇をなぞる。


 えええ!?


 私は首を横に振ってずりずり後ずさり「なんつって! もしかして今のでキュンときたのかい?」と彼が言い出すのを待つ。


 しかしクライヴは、じっと私の唇を見つめたまま身動きしない。


 その瞳は、執するように潤んでいる。


 だんだん私の心拍数が上がってきた。え? まさか? 私のこと好きなの?


「だ……だって……今、ちゃちゃっとすませたいって」


 動揺し上ずった声で私が言うと、クライヴは真面目くさった顔でうなずいた。


「さっさと始めたいんだ。緊張しすぎてなかなか勃たないかもしれないからな。時間をかけて君に挑まないと……。俺にとって夜は短いよ」


 腕を掴まれ、引きずり寄せられる。


「ま、待って、待って! 待って!!」


 オロオロしているのは私だけだった。


「え? ええ? つまり、どういうこと? 何をする気?」


 クライヴは顔をしかめた。


「君はバカなのか? 初夜にすることは一つしか無いだろう」


 バカ!?


「だってあなた、今までそんな素振りをしたことないじゃない!」


 からかってくるし、突き放すし、何か言うと反論してくるし、喧嘩ばかりだったのよ!?


「大体いつもシンシアが一番だし、とにかくシスコンで、私なんかを──」

「シンシアは妹だから」


 クライヴは、私を自分の腕の中にすっぽり収めた。


「ミラベル、君は女だ」


 カッとみぞおちが熱くなった。


 お、女! なんか、なんか、恥ずかしい!


 見下ろしてくる瞳はランプの明かりを照り返し、てらてらと光っている。まるで──。


「君はどうなんだい、ミラベル?」


 まるで、私を求めているような、死ぬほど欲しがっているような、そんな危険な感情の色を湛えて、彼は聞いてきた。


「俺みたいな、下賤の平民との結婚を、君は我慢できるのか?」

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