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【番外編完結】「醜い」と嫌われた豚令嬢、三年後に元婚約者に嫁ぐことになりました ~ただし離婚前提です~  作者: ボボブラ汁
第一章 本物の婚約者になってみせますわ!

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イジメっ子、第二王子アーサー

 わたくし、ポカンと彼を見上げてしまいました。そういえば、見事な赤毛だわ。なるほど、王太子殿下に似てらっしゃったのね。


 つまり見物している見慣れない方々は、おそらくミラベルと同じ高位貴族の校舎にいる生徒たち。


「ミラベルの兄貴の噂の婚約者を見にいこうぜ!」と、ぞろぞろやって来たに違いありません。


 意地悪そうな笑みを浮かべ、アーサー殿下は再び私の頭を叩きます。ちょ……ポムポムどころではございませんわ! めり込みそう。


「ヘビントン侯爵の婚約者は、ミラベルの親友だというからさ、どれほどの美少女かと思ったんだ。なんだ、引き立て役にでもしたいのか?」


 ミラべルが眉を吊り上げます。


「そんなつもりはございませんっ!」

「どうかな、悪役令嬢と平民の友情なんて、そんなものだろ」


 アーサー殿下は怒るミラベルをご覧になり、ニヤニヤしてらっしゃいます。


「ぎゅむ」


 ひときわ強く頭を叩かれました。


「おっと、首がめり込んじゃったかな。ああ、元からか」

「おやめくださいっ、痛がっているわ!」


 ミラベルが中に入ってきて、彼の手を掴みあげました。


 わたくしは冷や冷やしながら、それを見守ります。


 わたくしが手を振り払うよりは不敬ではございませんが、いくらミラベルが侯爵令嬢でも、相手は王子なのです。


「キャンキャン騒ぐなよ、悪役令嬢」


 でも王子がゲラゲラ笑っているところを見るかぎり、ミラベルをからかうのが目的のようです。


 あら、このいじめっ子王子、もしかしてミラベルのことが好きなのでは?

 

 クライヴ兄さまと似てますわ。ミラベルは怒らせると、チワワが咆えているようで可愛いのです。


 すると取り巻きのひとりだった令嬢が、わたくしにおっしゃいました。


「侯爵家当主が成金の娘と婚約なんて、恥ずべきことですわ。お前、婚約を解消なさい」


 ミラベルがわたくしに囁きました。


「ヒューバート兄様にお見合いを申し込んできた、ヘイワード侯爵家のクリスティーナ嬢よ」


 この方が! わたくしの中から怒りがあふれ出てきました。実は姿を見たのは初めてです。


 でも変ね、社交界の金の(シャチホコ)と言われるほど特筆すべきところはございません。


 金髪はヒューバート様に比べたらくすんでますし、身に纏う雰囲気もミラベルほど光り輝いておりません。


 ミラベルの方がよほど金の鯱と呼ばれるにふさわしいですわ。


 せいぜい、社交界の黄鉄鉱(フールズ・ゴールド)とかなら分かりますが……ふんっ! きっと自称──ステルスマーケティングで自分の二つ名を広げたに違いないですわ!


「聞いているの? ヒューバート様にあなたは相応しくないと言っているのよ」


 クリスティーナ嬢に詰め寄られましたが、わたくしはプイッと顔を背けました。


 妄想の中ではもうヒューバート様とは結婚しているくらいの仲なので、わたくしもかなり強気です。


「彼の方から、結婚を申し込んできたのですわ」

「脅したに違いないわ!」


 するとミラベルが、クリスティーナ嬢の前にずいっと出ました。


 猫のようにパッチリした目で睨みつけるその迫力は、さすがに悪役令嬢とまで言われるだけありますわ。


 クリスティーナ嬢はじめ、ご令嬢のみなさんはたじたじとなり、口を噤んだのです。


 言ってやってください、ミラベル!


「あ、あなあなたたたちっ、ふ、振られたからって、こここ、根拠の無いこと言わないで。お、お、お兄様とシンシアは、けつけつ結婚すりゅのよ!」


 動揺しすぎよ、ミラベル。知らなかったわ、ミラベルって嘘がつけないのね。


「とにかく、お兄様の方からシンシアに結婚を申し込んだということだけは、デマではございませんわ。この私が保証するんだからっ!」


 そんなミラベルとわたくしを、令嬢たちはギリギリ歯ぎしりしながら睨みつけていました。



 その日から、学食や購買部での食券の売り切れが早くなったそうです。


 厨房のコックさんたちが「やけに皆食べるようになったな。くそ忙しいし食材足りねーわ」とぼやいているのを小耳に挟みました。



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