王太子とご対面
すみません、間違えて投稿済みのところに貼っちゃった
(´>∀<`)ゝ
ヒューバート様は、殿下の前にわたくしを連れていかれました。
王太子殿下とお会いするのは、本日が初めてです。
わたくしが入学する時に、入れ違いでご卒業されたからでもございますし、そもそも王族に拝謁する機会のある王宮のパーティーに、平民出身の新興貴族は出席できません。
デビュタントを迎えてもお目にかかれないなら、おそらくこれが最初で最後の機会になるのではないでしょうか。
いえ、そうはならないためにも──わたくしは、どうにかしてヒューバート様と結婚しなければ!
「殿下、そしてご来場の皆さま。今日の良き日に、もう一つ嬉しいお知らせがございます」
ヒューバート様が声を張り上げ、殿下の前にわたくしを優しく押し出しました。
王族特有なのでしょうか。関心の薄い視線が、わたくしに注がれます。
ヒューバート様ほどではございませんが、美しく整ったその容貌に、訝しげな表情が浮かびました。
「僕は、こちらのステイプルトン家のシンシア嬢と、結婚の約束をいたしました」
シーンという沈黙の後、ざわっと会場がざわめきはじめます。わたくしは衆目にさらされ、緊張に身をすくませてしまいました。
殿下が目を丸くしてソファーから立ち上がりました。そしてなんと、わたくしに近づいてきたではございませんか。
再び会場が静まり返ります。
わたくしは慌てて足を引き、腰を屈めて優雅に頭を下げました。
どうしましょう、祝福を授けてもらったら、どうお返しすればよいのかしら。上流階級のマナーは学んでおりますが、噛み噛みになってしまうに違いありません。
殿下はいつまで経っても声をかけてはくださいません。わたくしは頭を下げたまま、殿下の足元を見ておりました。
わ、わたくしから話しかけてよろしいんでしたっけ?
「ヒューバート、どれが婚約者だ?」
殿下の抑揚のない声が、会場に響きわたりました。
ヒューバート様は、誇らしげにわたくしを引きよせます。
「殿下、こちらのシンシア嬢です」
王太子殿下の沈黙が続きます。
脂汗が出て、動悸が早まりました。な、何かしら……。
「顔を見せよ」
やっとお声がけがあり、わたくしはようやく顔を上げることができたのです。
「ステイプルトン家……多くの事業を手がけている、あの?」
殿下がつぶやきました。わたくしはハッとしました。
身分が違うと非難されるのでしょうか。でも昨今は身分違いの恋愛だって、珍しくはございませんし──。
「シンシア嬢と申したか?」
わたくしの顔をまじまじとご覧になり、殿下はどうやら困惑しているようでした。
「は、はい、お初にお目にかかります。殿下におかれましてはご機嫌麗しゅう──」
「ヒューバート、君はこの豚と結婚すると申すのか」
どっと会場が沸き立ちました。大爆笑です。
「え? え??」
どうやらわたくし、笑われているようです。な、なぜ?
ただ殿下ご自身は、笑ってはいません。ものすごく真面目におっしゃいました。
「一体どんな弱みを握られている?」
クライヴ兄様が、悪鬼の形相で飛び出してこようとし、ミラベルがしがみついてそれを止めるのが視界の端に映りました。
ナイスですわ、ミラベル。王族を殴ろうものなら、不敬罪で投獄ですわ!
「殿下! 愛するシンシア嬢に謝っていただきたい」
ヒューバート様が憤慨しておっしゃいました。しかし殿下は両腕を広げ、肩を竦めてみせます。
「だって、どう見てもピンクの豚ではないか」
落ち着いて、ヒューバート様!
「僕は弱みなど握られていません! こんなに可愛らしい娘は他にいないでしょう? 殿下だってペットのミニブタを、溺愛していたではないですか!」




