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ガラクタジジィは今日も拾う  作者: じじぃになりつつあるもの
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【クエスト専用】

うーん、酒飲んで書き上げてみた。

誤字脱字ありそーだな。

まぁいいや。

「この糞ジジイ、よくもやりやがったな!」


「はぁ?」


「死ねぇ」



「ほぇぇぇ!」


ズシャっという擬音が聞こえそうなほど、きれいに剣が刺さる。


ガラクタジジイは殺されてしまった、PKというやつだ。


---

時間は、少し前に遡る。


「ラッキー、これでクエストできる。

 えっとだ、ここの路地をっと。」


先ほど剣をレンタルできたケンシは意気揚々とメモを見ながら迷うようなこともなく目的地を目指して進んでいく。

メモは攻略サイトからの写しで、固定クエストを消化するためだ。


初期剣を持った状態でとあるところに行くと、中盤位のレベルまで使える剣を貰えるというものだ。

一定時期のプレイヤーにのみ適用されるが、このケンシもその時期に入っているプレイヤーだ。

大抵は、そのクエストの発見前にインベントリの邪魔になるので処分されてしまうものでもある。

サブキャラを作ることもできるが、敢えて残すのは検証班のような趣味人だけであろう。


当然ながら、こういった期間限定のものやターゲット限定のものもあるので攻略サイト自体はあまりない。


ケンシも丁度良い武器があまりみつからなかった時に掲示板で教えてもらった、知る人ぞ知る攻略サイト情報だった。


「まぁ、レンタルでは駄目かもしれないけど、それならそれでそのまま返せばいいしな。

 やってみれば、情報を上げてサイト管理者にも恩を売れるかもしれないし。

 まぁ、自分に損はないよな。」


軽く皮算用しているようだ。


たしかに、レンタル品は他者が盗むことはできないし、攻略サイトにも初期剣と交換というようなことは書いていなかった。

それなら、ただのクエストのキーとして作用すると考えても間違いではないだろう。

3年も経過しているクエストなら風化しても、間違いを残すこともないだろうし、と自分を納得させる。


「あ、ここだ。

 ここの鍛冶屋兼武器屋で見せればいいんだな。

 よし、まだ30分以上時間はあるし、大丈夫だろう。」


後々出てくる予定はないので、鍛冶屋兼武器屋だけでよいだろう。

ここは、若い鍛冶師が店主もして切り盛りしていて、普段は相手にあったものを見繕ったりしている親切なお店だ。

値段は決して安くないが、客のことを考えている良いお店だといえる。


「いらっしゃい、何かご入用ですか?

 なんだったら、希望を言っていただければこちらで見繕いますが。」


鍛冶の為か筋肉が盛り上がっているのが見えつつも、身綺麗にしている店主が対応に出てくる。


「いやな、これなんだが……。」


ケンシは初期剣をインベントリから実体化させる。

それをみて、店主は何故か急に動作が止まる。


「こ、コレハ

 イケマセン、これは私の初期のコロノダメなやつです。

 いけマせん!!」


急に動き出したかと思うと、奇妙にロボットじみた動きをするとケンシの手から初期剣を弾いてしまう。


「え?」


「エ?」


弾かれた剣は、何かに導かれるように鍛冶エリアに飛んで行き、炉に飛び込んでいく。

もちろん安全柵のようなものはあったのだが、それらもきれいにすり抜けていく。


「あ! モ、申し訳アリマセン。

 代わりにこちらを受ケ取り下さい。

 あなたの強さなら使えマスシ、さらに暫く使えるデショウ。

 ソレデハ!」


<イベントにて高品質の剣を手に入れました>


メッセージが表示され、インベントリに攻略サイトにも載っていた剣が登録される。


「えぇ~っと、ええ?

 あの~すいません。」


「はい、なんでしょう?

 希望を言っていただければこちらで見繕いますが。」


店主はおかしなことに、剣を見せる前のような普通の対応に戻っている。

先ほどの事には何も言及しないし、普通に接客を始めだしてしまう。


「さっき、私の剣を……。」


「ああ、その件はすでに終わっております。

 気にしないで下さい。

 あれはああいうものです。」


「え??」


これは固定クエストの特徴だったりする。

NPCにもそれなりに疑似人格をつけていることもあるが、固定クエストも必要と考えられている。

そのため、特定の物品や行動をキーに動く自動化のプログラムが動くようになっている。

クエスト専用の行動と言える。


「それじゃ、あの、先ほど溶かされた剣は?」


「すいませんが、それがどういうものか私どもは把握できる立場にありません。

 しかしながら、取引において問題になることはないはずです。

 問題があったとしても、私達には何もできないのです。

 ゲームマスターとかいう方にご相談ください。」


そして、NPCにその間の記憶はあまりない。

場合によっては赤面ものでもあるし、気持ちはよくわかる。


「ま、まぁいいか。

 用事は済んだから、帰るわ。」


「またのお越しをお待ちしております。」


店主は一礼してケンシを見送る。


<レンタル品である剣が完全に破棄されました。

 賠償として、いくつか方法が選べるので選択してください。

 賠償金は50万となります。

 ・一括返済……貯金額が条件を満たされてません

  破棄されます。

 1.分割返済

  ドロップ換金の3割が返済に割り当てられます。

 2.物納

  習得品の7割が7掛けで返済に割り当てられます。

 3.レア以上およびユニークを除くインベントリと銀行にある物品およびお金をすべてで支払います。

  不足分はペナルティが発生します。

  場合によっては、レベルが大幅にダウンします。


 これは、事前の契約書にて互いの承認が得られています。

 選ばない場合は、3を行い、1,2の事が行われます。

 30分の間にお決めください>


店を出るのがキーだったのか、レンタル品に関する賠償事項がシステムメッセージにより表示される。

実は、ガラクタジジイはこういったフォーマットをいくつも用意している。

実際に効力を発揮することは少ないが、たまにこういうことがあるようだ。

当然ながら、ケンシは契約書なんてろくろく読んでいない。


「ええ!

 なんだこれ?

 ちょ、ちょっとまてよ!」


改めて店内に入る。


「いらっしゃいませ。

 先ほどのお客様ですね?

 何か気になったものでもありましたか?

 相談いただければ探しますよ。」


「いやいや、そんな用事ないよ。

 それよりさっきあんたが溶かした剣だけどさ!」


「は?

 確かに私は、鍛冶も行っており溶かした剣も数知れずですが、今日はまだ炉を温めているだけですが?」


「いやいや、そこに持ってきた剣が飛んで行って溶かしただろ」


「ええと、ああ、あの行動ですね。

 申し訳ありませんが、私の関知することではありません。

 文句があるようでしたら、ゲームマスターを通す事をお勧めします。」


「いやだからだな。」


「ゲームマスターを通すことをお勧めします。」


「ふっざけるなよ、お前がオレの剣を壊したんだろうが!」


「……ゲームマスターを通すことをお勧めします。」


「おまえはコンシューマーのNPCか! ちゃんと何とかしろよ!」


何度も似たような対応を繰り返しすと、店主の台詞が少し変わる。


「ゲームマスターをお呼びいたします。」


『はい、呼ばれたのででてきました。』

小さい妖精のようなアバターのキャラが急に出てくるも、小さいのであまり急に出てきた感がない。

ちなみに、ゲームマスターには人間とAIの二種類いるが、通常はAIが出てくる。


「ああ、聞いてくれよ!」


『いやいや、聞くには及ばないよ。

 契約によるお互いのレンタル条件の同意書が存在し、サインもしっかりされている。

 それと紛失した初期剣だが賠償として別の剣を頂いており、すでに店主からの補償はなされているものとみなされる。

 店を出たあとシステムメッセージが出たとあるが、それまでに溶鉱炉からなんとか出していれば返却も可能な状態だった。

 剣は使うものだからね、摩耗や損耗具合は省かれるから、契約上なんとかなったはずだろう。

 初期剣を何とかする努力もみられないし、クエストで剣を貰うのが目当てだったんだろうし、何も店主に非はないね。

 そんじゃ、ゲームマスターとしてはNPCを罵倒するプレイヤーの行動という点が問題なだけだが、まぁ垢バンにするほどでもないしね。

 好感度が下がるていどじゃね?

 不服なら、運営に直接メールしてみたら?

 あ、そうそうこの店は入店不可にしておくから、無理に入ろうとしても無駄だよ~、そんじゃね~!』


ゲームマスターはそれだけ言うとケンシを店から強制的に退出させる。

これだけすぐに調べてしまうといことはAIのゲームマスターと推測できる。


「なんなんだよ、ちくしょう!」


<あと5分です。

 選択してください>


「ああ、もう3番でいいよ、何とかなるだろ!」


<価値総額30万程にありました。

 ペナルティとしてランダムに不足分に応じた能力低下が発生します。

 特定の行動によりペナルティを解除することは可能です。>


「なんだよ、特定の行動って!」


メッセージは出ても具体的な方法は提示されない。

ただ、単純に考えれば何をすればいいかは容易に分かるだろう。


「ったく、なんだよ!

 これなんだよ、いきなりビンボーじゃねーか!

 クエストやって良い剣を手に入れるっていう簡単クエストだぜ?

 なんでこうなるんだ?

 ……やっぱ、あれか、あのジジイか?

 …………あのジジイだな、あいつが素直に売らないのが悪いんだよな。」


いきなりすっからかんになって、ゲームマスターには問題とは言われず、残ったのは僅かな装備品と今まで獲得していたレア以上のアイテム。

代わりでもらった剣はレアだったらしく、インベントリの残っている。


何度もここまでの経緯を考えて、ぶつぶついっていたのだが、急にインベントリから剣を実体化させて走っていく。


そして、最初のところにと戻る。


<通称ガラクタジジイの死を確認しました。

 アビリティスキル、呪いが発動されます。>



众の秋しあげという日本酒を飲んでみた。

味がつよいな、好みが分かれそう。

私はスッキリした飲み口が好きなんで、微妙かな。

大体二号くらい開けたかな。

ツマミの貝紐が全然減らないなぁ。

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