↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
9/12

第9話 矢印は、あらぬ方へ


作戦は。


明確、だった。



日下部の。


わたしに、向いた、矢印を。


不破に。


向け直す。


そのために。


まず。


不破を。


動かす。


不破が。


日下部に。


優しく、したり。


頼ったり、すれば。


日下部の、意識も。


自然と。


不破に。


向く、はず。


……理屈は。


完璧。



だから。


わたしは。


不破に。


接触した。



◇



昼休み。


わたしは。


不破を。


廊下の、隅に。


呼び出した。


「不破くん。ちょっと、いい?」


「あん? ……湊? なんだよ」


不破は。


相変わらず。


えらそうだ。


でも。


この、王子様面が。


日下部と、並ぶと。


途端に。


尊く、なる。


……ふふ。


我慢、我慢。


「あのね」わたしは、切り出した。「日下部くんのこと、なんだけど」


「日下部? あいつが、どうした」


「最近、元気、ないみたいなの」


(嘘、だけど)


「あなたから。……ちょっと、気にかけて、あげたら、どうかしら。ほら。あなたたち、仲、いいでしょう?」


「はあ? なんで、俺が」


「いいから、いいから」


……よし。


これで。


不破が。


日下部を。


気にかけて。


二人の、距離が。


縮まる。


完璧な。


誘導。


……の、はず、だった。



◇



「……つーか」不破が。


ふと。


言った。「お前、最近。……東海林と、つるんでるよな」


……ん?


「え、ええ。まあ」


「……あいつ」不破の。


声が。


少し。


低く、なった。「……元気、か?」


……あれ?


「東海林さん?」わたしは、首を、かしげた。「元気、だけど。……なんで?」


「いや、別に」不破は。


ぷいっと。


顔を、そむけた。「……ただ。……最近。……あんまり、話してねえな、と、思って」


……。


……なに、この、反応。


不破の。


耳が。


……ほんのり。


赤い。



◇



わたしの、脳内で。


ぴこーん、と。


何かが。


光った。



……待って。


……もしかして。


不破って。


……東海林さんのこと。


「……不破くん」わたしは、探りを、入れた。「あなた、もしかして。……東海林さんのこと」


「――ちがっ!!」


不破が。


顔を、真っ赤に、して。


叫んだ。


「ちがう! 別に! そんなんじゃ、ねえ!」


「……何も、言ってないけど」


「うるさい!」


……ふうん。


なるほど。


なるほど、ね。


不破の。


好きな、人は。


――東海林さん。


わたしの。


共犯者で。


わたしの、隣で。


いつも。


「森本が、見たい」と。


言ってる。


あの。


東海林、四季。


……うわ。


こんがらがって、きた。



◇



整理、しよう。



日下部は。


わたしを。


好き。


(向けたくない、矢印)


わたしは。


その、矢印を。


不破に、向けたい。


でも。


不破は。


東海林さんを。


好き。


(未練、たっぷり)


そして。


東海林さんは。


森本が。


他の男子と、いるのを。


見たい。


(恋、では、ない。……鑑賞)


で。


森本は。


何にも。


気づいて、いない。


……。


……なにこれ。


ぐっちゃぐちゃ。



◇



その、放課後。


わたしは。


頭を、抱えて。


東海林に。


報告した。


「東海林さん。……大変なことが、わかったわ」


「……?」


「不破くんが。……あなたのこと。好きみたいなの」


……。


東海林の。


表情が。


ぴくり、と。


動いた。


……ほんの、少しだけ。


嫌そうな。


顔。


「……知ってる」東海林は、言った。


「知ってたの!?」


「……前に。……告白、された」東海林は。


面倒くさそうに。


言った。「……断った。……でも。……まだ、しつこい」


……ああ。


そう、だったの。


(そういえば。


不破って。


報われない、枠、よね)


◇



「でも」わたしは。


食い下がった。「これ、逆に。……使えない?」


「……?」


「不破くんの、その、想いを。うまく、転がして。……日下部くんに、向けさせられたら」


「……無理」東海林は。


ばっさり、と。


切った。「……不破は。……不器用。……一途。……そう簡単に。……気持ち、変わらない」


……。


……ですよ、ね。


わたしも。


薄々。


わかって、いた。


不破は。


まっすぐ、すぎる。


日下部に、矢印を、向け直す、なんて。


そんな、器用なこと。


できる、タイプじゃ、ない。


……計算通りに。


いかない。


ネルダー・ミード法も。


人の、心の前では。


無力。



◇



……と。


そのとき。


東海林が。


ふと。


とんでもない、ことを。


言い出した。



「……ねえ、ミライ」


「なに?」


「……不破が。……森本に、嫉妬したら」東海林は。


真剣な、顔で。


言った。「……どうなる?」


……え?


「だって」東海林は。


淡々と、続けた。「……不破は、わたしが、好き。……わたしは、森本を、見てる。……なら。……不破は。……森本を、ライバルだと、思って。……つっかかる」


……。


「……森本と、不破が。……バチバチ、する」東海林の。


目が。


きらん、と。


光った。「……それ。……見たい」


……。


……この、幼馴染。


自分の、色恋沙汰を。


平然と。


「森本×不破」の。


燃料に。


しようと、して、いる。



◇



わたしは。


頭を、抱えた。



もう。


だめだ。


盤面が。


わたしの、手を。


完全に。


離れて、いる。


わたしは。


不破×日下部が、見たい。


でも。


不破は、東海林さんを、向いてて。


東海林さんは、森本×不破を、見たがってて。


日下部は、わたしを、向いてて。


……誰も。


わたしの。


思い通りに。


動いて。


くれない。


「盤面の、支配者」?


……ふ。


笑わせる。


わたしは。


とっくに。


盤面から。


振り落とされて、いる。



◇



……ちなみに。


その、会話を。


少し、離れた、ところで。


森本が。


聞いて、いた。


いや。


正確には。


聞こえて、いたけど。


意味は。


まったく。


理解して、いなかった。


「なあ」森本が、寄ってきた。「お前ら、さっきから。……不破が、どうとか。矢印が、どうとか。……何の、話、してんの?」


「……女子の、話よ」わたしは、疲れた顔で、言った。


「また、それか」森本は。


肩を、すくめた。「……まあ、いいけど。なんか、大変そうだな」


……。


あんたが。


一番。


渦中に、いるのよ。


……と。


言いたいのを。


ぐっと。


こらえた。


(言ったら。


たぶん。


ややこしく、なる)



◇



その、夜。


わたしは。


布団の、中で。


天井を。


見上げて、いた。



……ふう。


今回の、ループも。


だいぶ。


こじれた。


日下部の、告白は。


かわし続けて。


不破は、東海林さんに、夢中で。


東海林さんは、森本に、夢中で。


(鑑賞的な、意味で)


わたしの、本命は。


一ミリも。


進んで、いない。


……むしろ。


後退、してる。


……ねえ。


神様。


わたしは。


ただ。


尊いものが。


見たいだけ、なのに。


どうして。


こんなに。


難しいの。


……ぐるぐる。


ぐるぐる。


考えている、うちに。


わたしは。


いつの間にか。


眠って、いた。


……次の、朝が。


リセットで、あることも。


まだ。


知らないまま。



(第9話 了)



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

  【 湊ミライの ループ攻略メモ 】

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

一、 これは わたしの願望が見せる世界

二、 心底"満足"すれば抜けられる

   (満足=不破×日下部の尊さを見届けること)

三、 思惑を勝手に見抜かれたら即リセット

四、 自分から明かして引き入れた味方はセーフ

五、 見抜かれても 相手が"同好の士"ならセーフ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

◆ 相関図(※もう ぐちゃぐちゃ)

・日下部 → わたし(向けたくない矢印)

・不破  → 東海林(未練たっぷり・一途)

・東海林 → 森本(※恋ではなく 鑑賞)

・森本  → 何も気づいていない

・わたし → ただ 不破×日下部が 見たいだけ

▼ 今回 判明したこと

・不破の一途さは 矢印を動かせない(打開策 崩壊)。

・東海林の新提案:"不破 vs 森本"のバチバチが見たい。

 → 味方の推しと わたしの推しが 真っ向から対立。

・盤面は もう わたしの手を離れている。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。