三十三話 二人で生きる。
ルルくんも成人したという事で、私は正式に彼との結婚を発表することにした。
ルルくんはヴィルヘルムとして死んでいる為、公爵家の正式な爵位継承権はなくしている。
両親はそれを嘆いているが、私を救ってくれた恩人という事や、彼がずっと娘を想ってくれたことで納得してくれた。
「持参金も頂いたし、優秀な子種があればテレーシア領は更に栄えるでしょうしね!」
なんてとんでもない事を言って来た。
ルルくんの前で言わないでよ……でも本人はニコニコしてるけど、恥ずかしいって子作りの話題は。
職場の皆にも報告した。そしたら
「やっとですか!」
「おめでとうございますー! ルルさん、ドロシー様!」
「で、式はいつ? その前にお祝いさせて下さいよ!」
と、わいわいはしゃいできた。
冒険者の皆も同じだ。
『三つ葉』を中心に拍手や指笛をして、祝福してくる。
……こんな応援されてたんだな、私たち。
「皆さん、ありがとうございます。これからもドロシー様と一緒にこの土地を支えていこうと思います」
そうやってルルくんが私の手を握ると、また歓声が沸く。
なんか、照れ臭い。
その日の仕事は早上がりをして、お昼を食べ、私たちは二人で並んで歩いた。
青い草の生い茂る小高い丘。
テレーシア領を見渡せる、眺めの良い丘だ。
まだ傷が癒えきらない子供の頃のルルくんを、よくここに連れて来たっけ。
「綺麗な景色」
「ええ、本当に」
二人で草原の上に座りながら景色を眺める。
転生したばっかの時は戸惑っていたけど、いつの間にか、この土地は大事な故郷になっている。
それは、きっとルルくんも同じだろう。
「ドロシー様……やっと、あなたと並んで生きていけるんですね」
そういうと、ルルくんは私の手を握った。
真昼の日差しに照らされる彼の笑顔は、日光よりも眩しかった。
嬉しい。
前世の時から恋なんて知らない私でも、幸せそうな彼を見て、一緒に並んで生きていけることが嬉しくてしょうがない。




