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二話 女体化クズ悪役。子供を拾う。

それから4年後。

私は16歳になった。

両親と周囲からの信頼を得た私は早めに男爵家を継いだ。

それと同時にギルドマスターとなった私は本格的に、運営をしていった。

女性冒険者に向けて避妊の加護がある貞操帯の貸出、プレゼンによる新規加入者の獲得、労基管理による働き方改革等々。

そのおかげで、私のギルドは他の冒険者からとても評判が良かった。


「前のパーティーではいじめを受けていましたが、個人相談所で話したおかげで円満に他のパーティーに異動出来て、今は幸せに仕事出来ています」

「給金も中抜きされずにしっかりと支払って貰って、本当に助かりました」


そういった感謝の言葉もたくさん貰えた。

一方で恨まれることもあったけど。

流石に爵位もあるギルドマスターに闇討ちとかはしないけど。こっちも録画録音機能のある魔法石常備してるし。

でも遠巻きに嫌味言われたりありもしない陰口はめちゃくちゃ叩かれてるな……

前世でもよくあったっけ。こんなの。


「じゃ、今日はお疲れ様でした」

「ありがとうございました」

「はい、皆さんお疲れ様。気を付けて帰ってね」


終業時間になると、私は従業員が帰っていくのを見送った。

金貨は勿論、相談所に来た人間の個人情報など機密書類の入った金庫を最終確認し、私は集会所を施錠する。

伸びをしながら、私は歩いていく。

今日も頑張ったな……帰ったらまずはお風呂にしてもらうかな。

あ、ちょっと遅くなるけど夜市に寄ってこうかな?

馴染みの受付嬢ちゃんがいいバスソルト売ってるって言ってたし。

……執事さんには悪いけど、買い食いしてもいいし。まあ、ほんの少しだけ、ね?

そんなことを思いながら歩いていた。その時だった。


「え?」


路地裏の方から、なにかが伸びていた。

それが何かわからず、そっと近づく。

その物体が何か理解した瞬間、私は「ひっ」と情けない声が出た。

手だ。

小さく、痩せて、土だらけの手。

浮浪者にしては、小さい。

明らかに子供の手だ。

ドクン、と心臓が鳴る。

嫌な予感がする。

最悪な予想をしたくなくて私はその角を曲がった。


「大丈夫!?」


私はその手の持ち主に駆け寄った。

土汚れが付いた布を被っている。

そこから伸びている手、その先の指が、ピクン、と動いた。


(生きてる……!)


私は自分の服が汚れるのも気にせず、ぼろ布に包まっている子供を抱きあげた。

想像以上に子供の体は軽い。

まるで中身が空っぽの人形のようだ。


「ぅ……」

「しっかり。今すぐ家に連れていくからね」


微かに呻く彼を抱え、私は家に急いだ。

門番は私を見た瞬間、驚いて目を見開く。


「門を開けて」

「あ、は、はい」


そして彼が館の戸を開いた。

私は呼び鈴を鳴らして執事を呼び、彼に子供を任せた。


「ドロシー様、こちらは」

「路地裏で倒れていたの。まずは風呂で体を温めて、傷を癒してあげて」

「……わかりました」


私は子供を彼に任せて、子供が着れるような服を見繕った。

まだ子供の性別はわからない。

昔私が使った厚手のガウンがあったのでそれを子供に用意することにした。

しばらくすると、子供の風呂を入れていたメイドがやって来た。

子供の性別は男の子だ。

医療魔法を行って軽い擦り傷は治したが、酷い栄養失調であったという。


「そうなんだ……じゃあ、スープを与えてあげて」

「はい。ドロシー様」


私も彼女の後を追い、男の子が待っている部屋に向かった。

私が部屋に入った瞬間、椅子に座ることもしていなかった彼は怯えたように私の方を見た。

怯えたように足元を見ながら、胸の前に手を置いた。

ワインレッドのガウンを纏った彼は、艶の無い黒髪をしていた。

それだけでも彼が長い間、満足に栄養を取れていない状態だったのだとわかる。


「気分は、どう?」

「……平気、です」


その声はか細く、聞いているだけで悲壮感で胸がきゅっと苦しくなる。

私はテーブルの前に座るように、彼に促した。


「今、ここにスープを運んでもらう事になっているから、席について」

「そんな、そこまでしていただけるなんて……私は、大丈夫、ですから」


彼の言葉の途中で、その彼の腹の音が鳴る。

頑なな彼に近づく。

彼は更に頭を下げている。

人と目を合わせることを恐れている。

……余程他人から恐ろしい目にあって来たのだろう。

私は腰を屈めて、顔を彼の視界に入れる。

そして声量を抑えて、彼に再び促した。


「大丈夫だよ。何も気にしないで。ここには君を傷つける人はいないから」

「……はい」


そう言って、ゆっくりと席に座った。



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