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十一話 女子会。

私、ドロシーは『三つ葉』の三人にそれとなく近づいて、ルルくんについて聞きだしてみようとした。

ハラスメントをしまくって嫌われていた原作とは違い、私は彼女たちからいつしか「信頼できる年上の女性」として慕われていた。

各々、頼れる人間がおらず孤独を抱えていた。

トーカは女性であることと跡取りとしての責任。

ブリュレは貴族主義が未だまかり通っている魔術師の世界で、卑しい身分だと後ろ指を刺された。

エリチカは貴族の地位に固執する両親から過度な期待を背負わされてきた。

だからこそ、安心して頼りに出来る大人というものに出会ったのは初めてだったそうだ。

本来なら主人公のフィンに見せていた弱音や不安を、私に見せてくれたりもしてくれている。

トーカがジョッキを机に置いて考える。


「例の神童、ルルですよね? 素晴らしい魔術師だと思いますよ。才能もキャリアもあるのに、それを鼻に掛けた様子もなくて」

「ちょっとトーカぁ~。その言い方だとブリュレはまだ未熟でイヤミったらしい魔術師みたいなんだけどぉ」

「ブリュレ……私はそんなつもりじゃ」

「わかってるよ。アンタたちに付き合えるのはブリュレだけだもんねー」


そう言い合うトーカとブリュレに、エリチカはくすくすと微笑んだ。


「本当にいいお方だと思います。魔法を使う身としては、尊敬しちゃいますわ」

「そうなんですね、エリチカさん」


エリチカはその桜色の唇からカップを離し、それをソーサーの上に置いた。

ふさふさした睫毛を下に向け、エリチカは重々しく語り出す。


「女将さん……わたくし達ね、男性にあまりいい思い出がないのです。まだ若くて、女性だけのパーティーという事で」


エリチカに続けて、トーカも告げる。頬杖を付いているブリュレもそれに続いた。


「我々三人は皆、早いうちに名を上げようと目的を持ってパーティーを組んだ。そのせいか他所から絡んでくる男の冒険者も多くて……」

「ほんっと、みーんなろくでなしだったよね。ブリュレたちのこと見下してるいやらし~目、今思い出してもムカつくってーの」

「まあ、冒険者になる前から男にいい思い出がないんだがな。私も、ブリュレもエリチカも」

「そうなんですか? なにがあったか言えます?」


昔の愚痴でも吐けるだけ吐いてもらった方がいい。

それだけで、心が軽くなるから。

私は彼女たちに話してもらえるよう促した。

私に促され『三つ葉』の三人は語る。


「その昔、私の里で行き倒れていた少年を保護したんですが……そいつ、私に対して『皆の期待を背負い過ぎてしまうトーカのこと、オレが助けてやるからな!』なんて言って来たんです……私は自分の意志で次期当主として努めていたのに、わかったようなことを言って、見下して……しかもそいつは父の形見である刀の鍔を盗んだんです! いつか探し出して、絶対に取り返してやる……」

「ブリュレもさあ、昔最悪な事されたんだー。昔魔法の練習した後に路地裏で休んでた時にさぁ、いきなりオスガキが現れてテキトーな事言った後に『ブリュレは国一番の魔術師になれるよ。負けんじゃねーぞ!』ってブリュレの頭掴んでぐしゃぐしゃに撫でてきたの。まーじキモかった……今でも頭触られるの地雷になってるくらいにはトラウマなんだよね~」

「わたくし、昔からこう、だらしない身体つきで、それが嫌でよく猫背だったんですけど……いきなり現れた男の子が背中を思いっきり叩いてきて……『デカい胸は隠したって目立つんだから、ちゃんと背筋伸ばせって! ほら、笑顔笑顔!』なんて、勝手なこと言ってきて……あんな上から目線でお説教されるくらいなら、いやらしい言葉言われてからかわれた方がずっとマシでした」


男性不信になった原因を話す彼女らに、私は言葉を失う。

なに、そのダメなタイプのラノベの主人公みたいな勘違い男は。

どうか今は反省して真っ当な人間に戻ってて欲しい。

そうじゃなきゃ社会に出ちゃいけない化け物過ぎるって。


「……だからさぁ、ルルのことは応援してるんだ。男にしては良い奴だし」

「そうですね。あの人を見てると頑張ろうと思いますわ」


好印象だなぁ。

色んなことで悩んでいた彼女たちだけど、少しずつでもルルくんと距離が近づけば、いつしか恋になるかもしれないな。

そうなったら応援しないと。


「彼が想う人と結ばれるよう、『三つ葉』の皆は祈っているよ」

「だね~」

「そうねぇ」


……ん?

『想う人』?

つまりは、ルルくんに好きな人がいるの?



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