王子と校長
【エリック】
「アルゴス様いらっしゃいますか?」
書類を読んでいた校長がびっくりしてこっちを見た。
「王子!呼んでくだされば迎えに参りましたのに・・・」
「いや、僕が急に来たんだから僕が来るのが普通かと」
「いやいや、一国の王子ですぞ?一校長に自ら会いにくるなぞ聞いたこともありませんぞ」
僕と校長は少し目を合わせた後お互い笑い始めた。
「挨拶はこれくらいにしましょうぞ、王子」
「ああ、さっそくだけど話を始めてもいいかな?」
校長は詠唱を唱えて指を立てクルクルと回し始めた。そして部屋に膜ができた。
「さて・・・これなら外に音は漏れないじゃろ」
「こんな魔法もあるんですね~」
「学んでみますかな?」
「今度時間があったらで」
「ほっほっほ、さて話を聞こうか」
「これから僕はニーナさんの所へ通わせてもらおうと考えているんだ」
髭を触りながら校長は聞いていた。
「ただ会いに行くのではなくて相手を探してもらおうと知り合いなどを連れてくるつもりなんだ。そのための許可をもらえないだろうか」
「まあ、入ってもらう分には構わんが・・・ニーナがどう思うか・・・」
「そうですね・・・今日だけなら問題ないと思いますけど、何日もになると流石に・・・」
「名目はどうなさるおつもりですかな」
「一応視察として来ると言っておこうかとは思っています」
「なんのための視察なのかと聞かれるのではないかね?」
「その時は、わが国の魔法部隊の設立のためとでも言っておくさ」
「ニーナは割と手ごわいですぞ・・・」
「ええ、でもこの国に居てもらわないと困ります」
「分かった。周りの者には伝えておく今度証書でも送っておこう」
「ありがとうございます」
そういって僕は礼をしてその場を後にした。入口でリアーネが震えて待っていたのでとりあえず急いで戻ろうと思った。
【ニーナ】
ずっとこの方剣術の話をしていますわ・・・私あんまり剣は分からないんですけど。
笑顔を作り相槌を打ちながら王子達を待っているとようやく二人が帰ってきた。
リアーネ大丈夫だったかしら・・・すごい泣きそうな顔になってますけど。
王子は笑顔でこちらに歩いてきたがリアーネはいまだに緊張していた。
「君の友人を借りて行ってしまって申し訳なかった。でも、おかげで話は済んだよ」
「何か失礼なことなどありませんでしたか?」
私は心配そうな顔をして聞いた。
「いや、しっかりと連れて行ってくれたよ。助かった。」
安堵しながらもリアーネを少し見た。まだガチガチになってる様子だった。
「アゼルとは仲良くしてくれてましたか?」
「はい、色々学校の事や剣術の事を話していただきましたわ」
「アゼル、どうだった?ニーナさんは」
「聞き上手なので僕の事ばかり話しちゃいました」
頭に手を回しながらアゼルは笑っていた。
「君らしいよ。すまないなニーナさん」
そして二人は帰って行った。私とリアーネは少し唖然としながらもパンを食べていた。




