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エリナの試合

私の心配をよそに普段通りおっとりとした雰囲気で会場にエリナは上がった。


始まりの合図と共に相手は攻撃していいのか悩んでる様子だったが、エリナは気にする事なく詠唱を唱え始めた。唱えた魔法は威力を増した炎の魔法で一気に燃え盛り相手を取り囲んだ。


エリナは普段通りの笑顔で相手に降参を呼び掛けた。相手は冷や汗を流しながら詠唱を唱え始めたが、エリナはそれを許さないといわんばかりに色んな属性の初級魔法を撃っていき追い詰めていった。そして相手は燃え盛る炎の近くまで追い詰められて降参した。


そのエリナの姿に貴族達は歓声を上げた。一般客達は始めは戸惑っていたが貴族の歓声を聞いて同じように歓声を上げた。


その後は、一進一退の試合が続き2学年はタルスタが勝ち3学年はアテニアが勝った。3学年の勝負は特に苛烈で派手さもあったが試合の内容はとても濃い内容だった。ただ最後の試合で大きな怪我人が出てしまった。肩を深く切れてしまった生徒が出てしまい会場は騒然とした。そこに居た医者も急いで手当したが様子は緊迫していた。私はその様子にそっとその場を立ち上がると歩いて会場の方へと向かい怪我人の元へと向かった。


ただ司会者は試合の進行を進めていき2勝1敗のアテニアの勝ちと声を上げた。タルスタの校長は負けた悔しさよりも逃げるように帰ろうとするナタリアに怒りを覚えたようでナタリアを睨んでいたが、エリックが抑えていた。


私は怪我人の元に辿り着くと包帯で巻かれた箇所に手を向けた。医者は私のする事に止めようとしたが王妃という立場もあって止めることができなかった。


深く切れていた場所を私は「元に戻れ」とつぶやきながら魔力を込めていき、少しするとその生徒は肩を回し始め、医者は驚いて声を上げた。


生徒は私にお礼を言ったが、それと同時に私のやった事に興味を示していたので私は自分の口に人差し指を当てて「内緒よ」と言ってまた席へと戻って行った。


その様子を見ていた一部の人がざわめいていたが私は気にすることなく、そっとエリックの横に座った。


閉会式が終わりナタリアの代わりにエリックが最後の挨拶を済ませて、今回の試合は幕を閉じた。


私はその後そそくさと馬車に乗り込みエリックを待った。


その後お城に戻るとエリナに軽く残念がられた。


「見てくださってたのに何も仰ってくれないのですね」


「ゴメンね。ちょっと見られちゃうと騒がれちゃう事しちゃったから」


「あの怪我を直した事ですね。それでも何か一言欲しかったです」


「でも、凄い魔法撃てるようになったのね。私も驚いたわ」


「その言葉会場で欲しかったです!」


そしてエリナは少し拗ねた様子で部屋に戻って行った。


怒らせちゃったわね・・・また、しっかりと謝らないと・・・


エリナの後ろ姿を見ながらそう思った。

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