夫婦、冷めず
アルビーネからの手紙を受け取った日の夜、私はエリックの部屋へ行きエリックと話をしていた。
「お仕事の方はどうなの?」
「それが結構忙しくて・・・また1人従者を雇いたいくらいだよ」
「内政ですか?」
「一部の領地のいざこざ問題に、税金問題、後はあのトンネルの検問の問題もあるね。まあ一番は君の持ってきた、他国とのお話が一番厄介なんだけどね」
「まるで私が忙しくさせたみたいね」
エリックは苦笑いを浮かべた。私は表情を変えないままお茶を一口飲んだ。
「君の方はどうなんだい?」
「私は変わりなく自由にさせてもらってますわ。子供達も魔法に気合を入れてましたし」
「そうか・・・そのうち僕のお仕事を手伝ってもらおうかな」
「私で良ければいくらでもお手伝いしますよ?」
(任せると仕事が増えたりするのが一番不安なんだ・・・)
エリックはそんな事を考えながら話題を変えた。
「でも、こうやって2人で話すのは久しぶりだね」
「そうね、いつも誰かさんが傍に居てくれるから2人っきりは本当に久しぶり」
外でくしゃみする声が薄っすらと聞こえた。
「それで、アルビーネさんから手紙が来て、アルゴス先生が亡くなったと」
「え!?アルゴス様が!?」
「はい、別の大陸なので場所は教えてもらえませんでしたが・・・」
「そうか・・・でも、最後は誰かに看取ってもらえたんだね」
エリックも寂しそうな顔をしていた。私はそっとエリックの頬を撫でた。
「そんな顔しないで・・・貴方には私が居るから」
私の手をそっとエリックは触り、目を閉じた。
「そこは心配してないさ・・・僕達には出来た子供達がいるから」
「私じゃないのね・・・」
「もちろん君にも看てもらいたいけどね」
エリックはいつもの微笑んだ顔に戻った。
「でも、やっぱり君を選んでよかったと思っているよ」
「最後まで看てくれそうだから?」
「君は僕の前で仮面を着けずに接してくれるからかな」
「あら、私そんなに表情に出てました?」
私は思わず顔を手で覆うとエリックはそのまま私の傍に移り、抱きしめた。
「昔と変わらない君が今でも好きだ」
「ええ、私も今のあなたなら好きで居られるわ」
「今の・・・か」
そっとエリックは私を離すと、私は少し頬を膨らませた。
「シエルの教育の時は本当に怒ったのよ?」
「あの時は・・・いや、ごめん」
エリックはちゃんとそこでは謝った。
「今のあなたのその姿・・・あの時のあなたに見せてあげたいわ」
「そうだね・・・一喝されそうだ」
2人はその後も沢山話し、愛し合った。




