クレナガルの読書
しばらくするとカルデロンが目を覚ました。
「!?・・・はあ、はあ、何が起きたんだ?」
「あら、おはようございます」
「ニーナ!俺に何をした!!」
「魔法を当てただけですが?」
エリナは不思議そうな顔をしたが、アルカニアの2人は気が気じゃなかった。
「おい!王妃様に向かってなんて言葉を!」
「流石に謝りなさいカルデロン!」
カルデロンはまだ自分に起きたことが分からずに動転していた。私はその様子を笑顔で見ながら近づいた。
「カルデロン?あまりイタズラしちゃダメよ?」
カルデロンは冷や汗を流して目を見開いていた。
「さあ、そろそろ生徒達の邪魔をしてはいけませんから移動しましょうか」
私はそう言って移動を促すと、ピッツェルとカルデロンは素直に移動を始めたが、クレナガルだけはエリナの方を見ていた。
まだ、娘に何か用があるのかしら
「クレナガル様?どうなさいましたか?」
「・・・いや、なんでもない」
私達は校門の方まで移動しているとクレナガルはまだ何かを気にしていた。
「ここの教材はどんなものを使っているのか教えてもらえますか?」
ナタリアは私の顔を見たので私はため息をついて頷いた。
「え~っと、ニーナ様の作った教科書を使っています」
「王妃様自らお作りになられたと?」
「は、はい!」
私はその言葉に続いた。
「アルゴス先生に頼まれて作りましたよ」
「今見せてもらう事は出来ますか?」
「校長、出してあげてください」
ナタリアは急いで取りに行った。
「なんで今更教材なんか気にするんだ?」
カルデロンが不思議そうにそう言うとクレナガルは少し興奮した様子だった。
「いや、おっさんがこうなるのは初めて見たわ・・・えぐい」
「カルデロン、あまりそう言うことは言わない方がいいわよ」
カルデロンの一言にピッツェルが答えていると息を切らしてナタリアは走って来て本を渡した。その本を見始めるとすぐにクレナガルは私の方を向いて呟いた。
「古代魔法か」
「ご想像にお任せいたします」
クレナガルは本を読み始めるとその場から動かなくなってしまった。私達はクレナガルが満足するまでその場で雑談や簡単な魔法の勝負をしたりしていた。
クレナガルが動き出したのは夕方の事だった。
「この本は確かに凄いが、私の欲しい情報はあまり書かれていなかったな」
「何を知りたいと思ったのですか?」
「古代魔法とは何なのかです」
「私は言いましたよ。過去の事を調べてみてくださいと」
「読んで字のごとくか・・・」
クレナガルは口惜しそうにナタリアに本を返すと私達と馬車に乗り宿へと移動した。
「お城じゃなくて本当に良かったのですか?」
「はい、あまりご厚意に甘えてばかりもいられませんので」
「あら、私はお城の方が」
「ピッツェル、無理ばかり言っては今後の関係に影響するかもしれんだろ」
ピッツェルはつまらなそうに部屋へと歩いて行った。
「でも、10年経ってもツラバスの人は居ないのですね」
「国のごたごたもあったが、テラゴニアに連れてきて暴れられても困りますから」
「では、もうツラバスの方も?」
「ああ、今度帝国に来られる際はお呼びいたしましょう」
そう言ってクレナガルも部屋へと移動した。
「なあ、王妃様・・・昼間はすまなかった」
「カルデロン様、お気になさらないでくださいね」
「こんな事聞ける立場じゃないのは分かってるけどよ、今回の最後の魔法・・・あれは一体何だったのかだけ教えて貰えないか?」
「そうですね・・・私が学生の時作りだした属性、雷の魔法ですよ」
「属性まで作っちまうんだな」
「カルデロン様も色々な属性を試してみてはいかがですか?」
「俺はやめとくぜ。いつか炎で王妃様の度肝を抜いてやりたいからな」
「楽しみにしていますね」
「じゃあ、俺も休むとするよ。今日はありがとな」
カルデロンはそう言って手を振りながら部屋に入って行った。




