クレナガルの探求
クレナガルはさらに質問を続けてきた。
「王妃殿下の魔法は詠唱を必要としないものと推測しますが」
「なぜ、そう思うのですか?」
「最初の魔法、壁を作り出した時、すぐに魔法を避けていらした。しかし、破片までは避けきれていませんでした。なのに、体に当たることなく消えていました。それは壁を作る魔法と共にその透明な壁らしきものを一緒に発動させているということになります」
「頭の中で詠唱している可能性は消えませんよね」
「ええ、ですが、2つの魔法を同時に詠唱をするのは現実的ではありません。特に透明の壁の方は簡単な魔法では無いはずですから、頭の中で詠唱するのは難しいでしょう」
「そうですね。でも、それだけでは可能性の域を出ませんよね」
「では、もう1度試してみますか?」
「ええ、何度もでも確かめていただいて結構ですが、術式があるとは考えなかったのですか?」
「なるほど、あくまでも詠唱と術式を使ったと言うのですね」
クレナガルは難しい顔をしながらも質問を続けて、他の2人はつまらなそうにしていた。
「では昔、殿下とピッツェルが戦った時ですが、あの時も強い魔法を放っていらっしゃった。しかし、詠唱は見られませんでした。難しい魔法を連発するのは不可能と思いますが?」
「昔の事です。あまりはっきりとは覚えていませんが研究して短縮したか、術式でも使ってたんじゃありませんか?」
「透明の壁に関しては術式も準備していたでしょうけど、攻撃に使えるあの魔法は術式で用意されていたとは考えにくいのです」
「クレナガル様は何を言いたいのでしょうか」
「殿下は詠唱でも術式でもない別の何かを使っていらっしゃるのではありませんか?」
「・・・別の何かとは?」
「それが分からないのです」
私は笑顔でクレナガルに手を向けて、風の渦を放った。それをクレナガルは間一髪で避けた。
「何をするのです」
「これをあの間で詠唱したのです。何もおかしな点は無いかと思いますが」
「・・・いえ、我々の様に話しながら詠唱をすれば可能です」
「では、2連発出来るか試してみますか?」
「同じ魔法を連続で放つことは詠唱を変えれば可能ですので、証明にはなりませんよ」
クレナガルはフードが捲れて白髪交じりの髪をした中年になっていた。
「どうかその正体だけでも教えては頂けないでしょうか」
「・・・私には何のことか分かりませんよ」
「そうですか、では、殿下の娘に聞いてみてもよろしいでしょうか」
私はその言葉に反応して目を光らせるように睨んだ。
「もし、娘に手を出せば、私はあなた達が敵対したとみなしますがよろしいでしょうか」
「滅相もありません。話を聞くだけですよ」
「そう言って仕掛ける可能性もありますからね」
私はカルデロンを見た。カルデロンは両手を挙げて顔を横に振った。クレナガルは話を続けた。
「私達は今でも魔法を探求したいと思っています。ですから、教えては頂けませんか?」
「私はあなた達より魔法を知りませんので教えられる事はありませんよ」
「いえ、カルデロンの獄炎をすぐに真似をした殿下は我々を既に上回っているのです」
薄っすら気づいているのではないかしら・・・
「仮にですが知っていたとしても教える事は出来ません」
「それは国の為ですか?」
「それもありますが大切な人からの教えでもあるのです」
「では、やはりあるのですね。秘密が」
乗せられちゃったわね・・・
「昔の文献を読んでいただければ何か分かるかもしれませんね」
「そうですか・・・ヒントを頂きありがとうございました」
カルデロンは待ちきれなくなって声を上げた。
「なあもういいだろ!続きやろうぜ!!」
私は魔力をカルデロンのお尻に飛ばすとまた火をつけた。
「また来たな!」
すぐにその火を地面に座り消すとそのまま詠唱を唱え始めた。




