最初で最後の大きな痴話喧嘩
私は子供達を目一杯抱きしめると一呼吸おいて周りを見た。
「やっちゃったわね・・・」
庭がめちゃくちゃじゃない・・・エルに怒られるわね。
「お母様、私にも魔法を教えてください!」
「あ~ずるい!私にも教えてください!」
エリナとエリスはそう言って私の手を引いたがシエルは周りの目を気にしてなのか怯えて戸惑っていた。
「シエル、貴方はどうしたいですか?」
「僕は・・・」
シエルは怯えた表情でエリックの顔を見た。エリックは笑顔を見せた。
「行ってきなさい。お母さんをあまり怒らせたらダメだよ。こうなるから」
エリックは散った兵士を集めた。
「今回はすまなかった。僕の我儘で振り回してしまった。これ以上はニーナには手出しをしない」
兵士達もどこか安堵した様子で帰る準備をしていた。エリックは1人こっちを見て何かを言いたげだった。
「・・・なに?」
「えっと、アンナの件も申し訳なかった」
「あれは仕方ない事よ。国の主の前に立つんだから、斬られても仕方ないわ」
「そ、そうなのか?」
「それで?」
私はすました顔をしながら淡々と答えていった。その態度が堪えたのかエリックは言葉を詰まらせた。
「このままじゃ、本当に私達は外の国に行くことになるわね」
「それは・・・」
「それは?」
「いや、君のやりたいようにしてくれて構わない」
どうして言わないのかしらね・・・戻ってと
「戻らなくていいのね?」
「戻ってくれるのかい?」
「これからのあなた次第よ」
そう言うとエリックは頭を下げた。
「頼む、子供達と戻ってきてくれ」
「どうしようかしら~」
「・・・お願いします」
「ふふふ、約束してくれる?」
「無茶な教育はもうしない」
「じゃあ、しばらくしたら戻るわね」
私はそのまま子供達と一緒に屋敷の裏の方へと歩いていった。
「立つ瀬無いな・・・父上もこんな感じだったんだろうか」
エリックは少し微笑むと私の背中を見ていた。それから私は、子供達に簡単な魔法から教えていった。炎を灯す生活魔法、火の玉や水泡を飛ばす魔法など色々教えていき、みんな楽しそうに魔法を撃っていた。
私もこんな時期あったわね・・・そしてその内に魔力の存在を感じられるようになって。詠唱も無く魔法を撃てるようになって。今じゃ想像で相手の魔法を真似することもできるようになっちゃったわ。
アンナは子供達と混ざって楽しそうに遊んでいた。
「ニーナ様~一緒にやりましょうよ~」
アンナがそう言った瞬間、アンナはエリスの水泡に当たって濡れてしまった。私は笑顔でハンカチを差し出した。
「やられちゃったわね」
「みんな魔法が上手です~」
シエルも姉達と一緒に楽しそうに魔法を撃っていて久しぶりに笑顔を見せた。




