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嵐の王妃

エリックは怯み後ずさりするも剣は引かなかった。


「アンナ、ダメ・・・やめなさい!」


アンナは振り返り笑顔で私を見た。その瞬間アンナのお腹に剣が刺さった。その場に居た兵士も含めた全員が驚いた。


「あ・・・私の所為で・・・アンナ?ねえ、アンナ!!」


エリックの表情は消え、ただただ私の方を見ていた。私は戦争の時の記憶が思い出されていき震えながらアンナのお腹を押さえた。


「エリック・・・どうしてこんな事したの」


エリックは答えず剣を構えた。私は無心にアンナの体に魔力を流し治癒させていった。


「答えなさい!!エリック!!」


「・・・反逆者を捕えよ」


兵士達は戸惑いながら私を包囲した。私の体からはすでに靄が出て異常な空気になっていた。


「お父様、ごめんなさい。我慢できそうにないの」


「分かった。好きにやりなさい」


傷の塞がったアンナをそっと寝かせると私は周りを嵐に変えていった。風が吹き荒れ、氷が降り、地面が割れ、炎が吹き上がった。兵士達はその異様な状況についていけず逃げ出した。


私は両手を広げると空中に浮き、靄が体を覆った。エリックはそれでも引かずに1人剣を握っていた。そして私は片手をエリックに向けた瞬間、エリックは吹き飛んだ。


「・・・な、なにが起きたんだ」


「私の子供だけでなく大切な人までも傷つけた罪は深いですよ。陛下」


「そうだね。僕は戻れない所まで来てしまったみたいだ」


「陛下、今までありがとうございました」


「・・・僕の方こそ、夢をありがとう」


私の足を誰かが掴んだ。私は下を見るとアンナが意識を戻して私を掴んでいた。


「もう殺させません・・・ニーナ様は幸せにならなきゃいけないんです」


よろめいたアンナを支えようと地に降りた。その隙を狙ってエリックは剣を構えて走ってきていた。

私はエリックを睨むとエリックの足がどんどん凍っていった。


「・・・アンナ無理させちゃったわね」


「いいえ、ニーナ様を正しい道へ導くのも私のお仕事ですから」


「小難しい事言えるようになったのね」


「酷いです・・・」


周りに残っていた人達は安心した様子を見せ、辺りの雨は止んでいた。ただ、エリックだけは悔しそうな顔を見せていた。


アンナを私の後ろに立たせると障壁を張って、エリックの氷を溶かしていった。


「貴方をどう信用すればいいのか私は分かりません。ですが、解放はします。お好きになさってください」


「・・・僕は、剣を捨てるよ。君には敵わないからね」


「ねえ、どうしてここまでやったの?」


「僕は同じ過ちを自分の子供にさせたくなかった。王になる子供にね」


「貴方が道を示してあげればよかったじゃない・・・前王のお義父様の様に」


「それがあの教育だったんだ!!」


「そうじゃないわ。寄り添っていけばよかったのよ」


「寄り添う?」


「間違ったことは違うと隣で立って話せるようにすればよかっただけなんです」


私はアンナを抱き寄せた。


「私にはこの子が一緒に居てくれますから」


そうしていると娘達はこちらへと走ってきた。


「お母様~!」「お母様~!!」


「あなた達にも怖い思いをさせちゃったわね」


戸惑ったシエルを私は手招きして呼んだ。シエルは少し表情を柔らかくして走ってきて私の腕の中に納まった。


「シエル・・・もう心配はいらないわ。私が一緒に居るから」


シエルは泣きながら私にしがみついた。その様子を娘達は微笑んでみていた。


「あれが、私達の自慢の娘の姿ね」


「ああ、少しお転婆な所もあるけど私達の大事な娘だ」


父と母はそう言って、手を取り合って立ち上がり周りを見ていた。兄とシャノンは気疲れを起こしたのかため息をついて屋敷へと使用人と共に戻って行った。

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