大切な・・・
クロフォード家の前には兵士が並び戸惑った顔をしていた。
「ニーナ!!こっちに出てこないのならばクロフォード家共々捕らえて、処罰する事になる!!」
私は子供達を母に預けて前に出た。
「私が出ればシエルに酷い事はしないの!」
大声でそう問いかけるとエリックは前と同じような言葉を返してきた。
「なら、私は戻らない!!子供達を連れて他国に逃げるわ!!」
「ならば仕方ない!!全員捕らえよ!!」
兵士は煮え切らない顔をしながらも全員が突撃してきた。私は雷の魔法を使って全員を痺れさせた。
エリックは私に向けて剣を抜いた。そして雨が降り始めた。
「本当にいいんだね」
「私は貴方を愛していたわ。でも、子供達に手をあげる貴方は愛せない」
雷が鳴り、私とエリックを照らすとエリックは斬りかかってきた。私は魔力を纏い避け続けた。
「これはこの国に必要な事なんだ!!」
「そんな事知らないわよ!!シエルがそのためにボロボロになるのは耐えられないわ!!」
「ここで甘えが出てしまったら、また僕は間違ってしまう!!」
「今のあなたの選択が間違ってるのよ!!」
「今度こそ僕は正解に導かなくてはならないんだ!!」
私は障壁を張った。エリックの剣は障壁に弾かれた。
「どうして分かってくれないの!」「どうして分かってくれないんだ!」
2人は同じように声を上げた。
「シエルはまだ、小さいのよ?急がなくてもいいじゃない・・・」
「それじゃ間に合わないんだ」
「・・・きっと大きくなれば立派になるわ。私と貴方の子供ですもの」
「いや、甘さは捨てなきゃいけないんだ」
私は俯いて、片手を前に出した。そしてエリックの前に雷を落とした。
「私は子供達を守るためなら何でもするわ・・・例え貴方が相手でも」
「僕は未来のために君を・・・殺してでもシエルを育てて見せる」
クロフォード家の人間と子供達は心配そうな顔をして黙っていた。そして、私はエリックに向かって雷の魔法を放って痺れさせた。
「・・・ごめんなさい。私は子供達が大切なの」
「いいさ、僕は君に敵わない事を知っていたから」
「ねえ、エリック・・・1つ約束してくれないかしら」
「何をだい?」
「私が死んだら・・・子供達3人とクロフォード家を助けて欲しいの・・・もちろんシエルに無理な教育をしないと約束してね」
「え?」
私はエリックの剣を取り上げると父に剣を渡した。
「お父様、本来ならここまで生かす理由も無かったのに、生かしてくれてありがとうございました」
父は剣を見ていた。
「あなた・・・やめて」
母は懇願するが、父は剣を持ったまま顔を伏せて立っていた。私は子供達を抱き寄せると「ごめんね」と囁いた。アンナはたまらず止めに入ろうとしたが、兄がそれを止めた。
私は父の前に跪き髪を退けて首を見せた。父は雨なのか涙なのか分からないくらい濡れた顔で剣を振り下ろした。




