体調不良
クレナガルは詠唱を唱えながら歩き、私に狙いを定めていた。
唱え終わると「トルネード」と呟き、私の真下から小さな竜巻のようなものが現れた。障壁が防いだが人一人分くらい空中に浮いた。私はスカートを抑えながら着地すると同じように詠唱を唱え始めた。
「私には風魔法を使うのか・・・」
クレナガルは詠唱を聞き判断して少し距離をとった。そして私の詠唱が終わると風の渦をクレナガルに向かって放った。クレナガルは急いで横へ飛び避けた。
「なかなかの風だな」
「貴方のも少し驚いたわ」
「少しか・・・」
私とクレナガルは詠唱を始めた。「サイクロン」と言って私と同じ風の渦を飛ばしてきた。私はそれを見越して詠唱して1発の鎌鼬を放ち風の渦を切った。鎌鼬の勢いは衰えずにクレナガルの服を一部裂いた。
他の国では魔法に名前を付けているのかしら・・・
「私の風でも歯が立たんか」
「あなた達の狙いは私の力を調べに来たのですね?」
「・・・そうだな、本心を言えばその通りだ」
他の2人も同じように頷いた。
「この前、カルデロンにあっさりと勝ったのを見て、調べたいと思ったのだ」
「それでご期待には添えたかしら?」
「私達では敵わないというのがよく分かったよ」
「そういえば、他の国では魔法に名前を付けているの?」
「こちらでは名前を呼ばないのか?」
「呼んでおりませんよ?」
そんな会話をしているとカルデロンは少し離れた所に座り込むとぼやき、ピッツェルは悔しそうな顔をしていた。
「俺達3人で掛かってもあっさり返り討ちになるだろうしな~」
「それも同じ属性の魔法で負けてるのよ」
「ここの校長を連盟に入れるよりこの姫さん入れた方がいいんじゃないか?」
「・・・私達ではこの域に達するのは無理よ」
クレナガルは私の方を見て何かを喋りかけた瞬間、私は急な吐き気に襲われた。そしてその様子にナグアは走り出し私を支えた。
風邪かしら・・・体が怠くなってきたわ
「ニーナ様!?」
「気持ち悪いわ・・・」
ブランドは冷静に3人を睨みながら私の方に寄ってきた。
「ニーナ様、他に何か体調の不便はありませんかな?」
「体が少し怠いわ・・・でも、大丈夫よ」
「そうですか、ナグアよ。しばらく近くに居なさい」
ブランドは3人にゆっくりと寄って行った。
「すまんが、我が国の姫は少し体調を崩されたようでな」
「いや、無理を言ったのはこっちの方だ。すまない」
「お!今がチャンスってやつか?」
「止めないかカルデロン」
私はそっと手を出して指を鳴らすと、またカルデロンのお尻に火が付いた。
「なんでだーーー!!」
「・・・申し訳ない」
私は笑顔に戻り3人の方を向いた。
「お話し中、失礼いたしました」
「いや、体調の事も気にしなかったのはこちらの落ち度だ。許してくれ」
(体調を崩していても私達では敵わなかった・・・誰よりも魔法の扱いに長けている。疑う余地も無いな)
「姫様も体調が悪いようですので、そろそろお城へ戻ろうか」
「もうよろしいのですか?」
「実際にテラゴニアの魔法学校を見て評価が変わったからな」
クレナガルは静かに馬車の方へ歩き始めると2人も後を追った。
「そうだよな~でも、今度はちゃんと戦ってほしいもんだな~」
「どうせ負けるからやめておきなさい」
「んだとー!」
「クレナガル、私の見立てでこの学校の子達かなり強くなってるわよ」
「私もそれは感じた。下手すれば帝国の学生より強い生徒が居るかもしれないくらいだ」
「俺の所よりも上なのは確かだな・・・」
3人は各々感じるものがあったのか帰りの馬車はとても静かだった。




