パン屋の2人
私達は準備を終えるとさっそく馬車に乗った。
先ずはどこへ行こうかしら・・・そうだわ、あのパン屋さんに行ってみようかしら
「アンナ、久々にあのパン屋さんに行きたくない?」
「・・・あ!あそこですか!」
「アンナをまた働かせてあげるわ!」
アンナは涙目で訴えてきたので冗談は程々にして行くことにした。
馬車で乗り付けると目立ってしまったのかパン屋の主人が飛び出てきた。
「な、なんだ!?」
私はその様子に慌てて馬車を降りた。
「ご、ごめんなさい!驚かせてしまって」
「ん?久しぶりじゃねえか!!」
「ええ、ご無沙汰しております」
パン屋の主人が大笑いしながら出迎えてくれた。そして店の中に3人で入ると奥さんも笑顔で迎えてくれた。
「おや、久しぶりだね。そっちのお嬢さんもまた働きに来たのかい?」
アンナは誇らしげに胸を張った。
「今はニーナ様のお世話をしておりますから!」
「あら、残念」
本当にこの子ここで働かせようかしら・・・
ユミナは普段通り静かに挨拶を済ませてパンを見ていた。
「ところでご主人、あれからどうですか?」
「ん?ああ、お嬢さんが抜けてから、また昔のようにもどっちまったな」
「あら・・・やっぱりアンナを」
アンナ、凄い身構えてるわね・・・でも、ここのパンはおいしかったんだけどなあ
「でも、あんな立派な馬車で来るんだから驚いたぜ」
「ええ、城にある小さいのが丁度整備中で・・・」
お店の2人は固まった。
「あの~・・・」
「やっぱり!!あの嬢ちゃんじゃねえか!!」
「ほらアンタ!!急いで頭下げるのよ!!」
2人は頭を下げると大声で謝り始めた。
「申し訳ございません。王太子妃殿下!」
「おやめください。私はここへ・・・そう!お忍びで来たんですから!」
2人は私の姿を見て変な汗をかきながら苦笑いを浮かべていた。
・・・あ、この格好じゃあ、そうなるわね。
アンナに用意された服はとても綺麗で少し目立っていた。
「ここにいる間はニーナでいいので!頭を上げてください」
2人は困惑しながらも普段通りに戻っていった。
「しかし、パンなら城の料理人に作ってもらえばよかったんじゃないか?」
「私ここのが気に入っていますので久しぶりに食べたくなりました」
「嬉しい事言ってくれるじゃねえか!」
奥から奥さんがパンを詰めて持ってきた。
「ほら、これを皆で食べな!城のよりは味は落ちるかもしれないけど美味しいわよ!」
「ありがとうございます!」
私はそのまま代金をアンナに払わせた。
「そのまま受け取ってください」
「す、少し多くないか?」
「前にお世話になったので」
私はそう笑顔で言って外へと出て行った。
「すまねえな、来ると分かってたら焼きたても用意出来たのに」
「ええ、急でしたもの」
「また、来てくれよ」
「ぜひ!」
そうして私達は馬車に乗り込んだ。
【パン屋】
「ただもんじゃないとは思っていたが・・・まさか王子とくっつくとは思わなかったぞ」
「そうね・・・でも、いい子が王子の相手でよかったじゃないか」
「ああ!そうだな。ただ、嵐の子なんじゃないかと俺は思うぞ」
「ええ、それは私も思ったさね・・・」
いつの間にかパン屋にお客が殺到していて大変なことになっていた。




