戦争の爪痕
ナグアの元へ着くと隊長として居た姿とは大きく違って窶れた姿で髪もボサボサになっており奇妙な表情で笑っていた。
「ナグア?」
呼びかけると目だけがこちらを見た。その瞬間格子に飛びついてきた。
「お前だ!!お前が来なかったから!!みんな死んだんだ!!」
今までの形相とは違い憎悪に溢れた表情に私は気後れしてしまっていた。
「お前が居たらこんな事にならなかったんだ!!」
狂ったように「お前が」を連呼し始めて異様な空気が漂っていた。一頻り連呼した後、一呼吸入れた時に私はナグアの顔を見た。
「気が済んだ?」
「アハハハハ、お前が悪いんだ!!」
「そうね」
「お前がお前がお前がお前がお前が・・・」
「貴女には重すぎたのね」
「私が何したっていうのよ」
「私がそうさせてしまったのね」
「ああ・・・私が、なぜ、私だったのよ・・・」
ナグアは狂ったかと思えば急に泣き出してしまった。
「ねえ、ナグア・・・マカオンはなんて言ってたの?」
「マカオン?」
「そうよ・・・マカオンは何か言ってなかった?」
ナグアはその時の事を思い出していた。そして、さっきよりも大きな声で泣き出してしまった。
「リア達は貴女に何を思っていたのかしら」
「知らないわよ・・・」
「そう・・・」
「・・・私は侮辱罪でここに入れられたわ。もう先は長くないの」
「誰を侮辱したの?」
「ニーナ様よ・・・アレ扱いしたのよ」
「そう」
「怒らないの?」
「だって、貴女にとってアレならアレなんでしょうから」
私は微笑みながらそう言うとナグアは悔しそうに格子を叩いた。
「なんでよ!怒ってくれたっていいじゃないですか!このまま処刑してくださいよ!!」
「処刑にはならないわ!」
食い気味にそう答えるとナグアはへたり込んだ。
「みんなの所へ連れてってよ・・・」
「絶対に嫌よ」
「どうしてよ!!」
「それが意志だからよ」
「誰のよ!」
「甘えるな!!自分で考えなさい!!」
私はそう言って声を上げるとナグアは驚き言葉を失った。
「そんな事も分からないのにみんなの所へ行けると思わないことね」
私はそう言って、その場を後にした。少ししてからまたナグアの泣き声が響いてきていた。
エリックの元へ私は戻ると少し驚いていた。
「君が怒ったところ初めて見たよ」
「あまり気持ちのいいものじゃないわ」
「じゃあ、もう1つ知らせておこうかな」
エリックは手紙を1枚取り出した。
「これは?」
「おそらくアルゴス様の最後の手紙だよ」
私はその手紙を開けて読み始めた。




