観光
部屋から出て腕輪を壊した事を使用人に言って謝りつつ、ナタリアの腕輪を外してもらい、そのままアンナと御者が待つ馬車へと着いた。
「ニーナ様遅いです~」
「拗ねないの」
「だって~ニーナ様が居ないと帝都を回れないじゃないですか!」
「観光じゃないのよ?それにいつまでも帝国に居られる訳じゃないわ」
「え~でも、招待状貰って入ったわけですし。ちょっとくらい、いいじゃないですか」
「ダメよ」
「ヤダヤダヤダ~」
アンナの駄々っ子ぶりにナタリアもようやく緊張が解けた様子だった。御者は苦笑いをしてアンナの様子を見ていた。
「差し出がましいですが、本日はお疲れでしょうし、一度宿かどこかでお休みになってからお帰りになってもよろしいかと思いますが」
「分かったわ。宿を取って休みましょうか」
アンナはその言葉に大喜びしていた。御者は兵士の人や道行く人に話を聞いて宿へと移動した。
帝都の宿は複数あったが、御者は一番いい宿を取ろうとしていたが、私は普通の宿をお願いして移動した。
その後は、ナタリアは部屋で休むと言って出てこなかったが、アンナは異常に元気になって御者と私を振り回すように色々見て回っていた。
帝都はテラゴニアの城下よりも広く、立っている建物やお店などは立派な物が多かった。初めて来た御者は地図を頼りに色々回っていたが、道の悪い所にでた。そこで私達は身なりの悪い人々を見ることになった。
「帝都って華やかな所とそうでない所とあるのね」
「え?テラゴニアにもありますよ?」
「アンナ!なんで知ってるの!?」
「パン屋の主人から近寄るなって区域を言われていたので・・・」
漫画やアニメで見たような光景ね・・・私も下手をすればこうなっていたかもしれないけど・・・
私達の馬車を見るなり物乞いがやってきていたので急いで通り過ぎるように御者に伝えた。そして、また華やかな街の中に戻ってきた。
どちらが幸せなのかしら・・・奴隷になって最低限の生活を保障されるのと、いつ死ぬかも分からないけどあの様に生きていくのと。私がツラバスにやったことは・・・
私は窓から外を見ると目も口も真っ黒な人の影が沢山写っていた。
「お前が壊した」
「お前が殺した」
「お前が奪った」
「お前が・・・」
私の頭に言葉響いてきた。私は思わず頭を抱えて焦点が合わなくなっていた。その様子にアンナは急いで御者を止めた。
「ニーナ様!ニーナ様!!」
薄っすらと聞こえるアンナの声とハッキリと聞こえる恨みつらみの声で私は混乱して、そのまま震えていた。




