狂気のナグア
【エリック】
「君はあの時何が!」
ナグアのドアを閉める力はとても弱くあっさりと開いてしまった。
「あああ・・・わ、私は・・・」
ナグアは取り乱すように頭を抱えてベッドの中に入って丸まっていた。
ニーナならどうやってこの人の事助けてあげるんだろう
「た、隊長・・・殿下もいらっしゃることだし・・・」
心配そうにダンは手を伸ばしながら声を掛けるがナグアはそれを嫌がった。
「何があったかだけでいい・・・教えてくれないか?ナグア」
僕は優しく問いかけると震えた声でナグアは言い出そうとしていた。
「あ・・・あの時、みんな・・・死んじゃって・・・私だけ・・・」
ナグアはそのまま泣き出してしまった。
「ナグア・・・僕と一緒なんだね」
「一緒なんかじゃない!!」
ナグアは声を上げた。
「僕も生かされた人間だから・・・僕の所為で父や大勢の兵が死んだ・・・」
「一緒・・・なんかじゃない・・・」
この空気に耐えられなくなったのかダンはそっと部屋を出た。
「僕があんな作戦を立てなければ父や君達魔法兵も死なずに済んだんだ・・・」
ナグアは感情的になって僕を睨みながら声を上げた。
「そんなこと言ったって帰ってこないわよ!!」
「ああ、そうだね。すまない」
ナグアは涙を流しながら吠えるように続けた。
「私がもっと強かったら・・・マカオンは私の盾になって死ぬことは無かった!!リアは一緒に前線に立って死ぬことは無かった!!他の兵だって私がしっかりしていれば!!」
「いや・・・僕が悪いんだ。君は悪くない」
「私にもニーナ様のような力があれば・・・」
「ニーナのあの姿を見て本当にそう思えたかい?」
僕とナグアは拳を握り力を込めた。
「・・・私なら平気です。そのために訓練してきたんです」
「きっと、君ではニーナにはなれない」
「それは分かっています!!」
「本当に分かっているのかい?理由を」
「私には才能が無かっただけです!!」
「ニーナは才能だけじゃなかったよ・・・1人で研究をして大怪我をして、それでも研究を辞めなかった。それにニーナは誰かのために魔法を勉強してきていたんだ。必死にね」
「私だって・・・必死よ・・・必死に研究して、隊長にもなって隊長の勉強もして・・・なのに!!私はみんなを死なせてしまったのよ!!」
「君の所為なんかじゃない!非は僕にあるんだ」
「・・・ニーナ様を待てば勝てたの?」
ナグアはその言葉から雰囲気が変わった。
「にーなさまがいたらだれもしななかった?」
少し様子がおかしくなってきていた。
「ああ、あれが居なかったからか・・・あれが居なかったから死んだんだ・・・」
ナグアは憎しみを込めた声でそう言いだしていた。
「なぜ・・・あれが居ないのに進軍させた?お前が・・・殺したのか?」
「ああ、僕の判断が間違っていたんだ・・・だけど、あれ呼ばわりはあまりしないで欲しいね」
僕は警戒を強めた。ナグアの異常な態度と言葉そして顔に。
「アハハハハ、私達はあれに踊らされていたのよ!!私達なんて居なくたってよかった!!」
「そんなことはない!!君達が居たから!!」
「私達が居たからなに?肉壁にでも出来た?」
「僕はそんなことしていない!!」
「ええ、後ろは見ないものね・・・私達の悲鳴や苦しみは聞こえないものね!」
ナグアの狂気じみた笑い声は部屋に響き廊下にいたダンにまで聞こえていた。




