弱弱しい隊長
【エリック】
ニーナが城を出てすぐ、僕は落ち着かずに部屋で事務的な事をしていた。
「殿下、落ち着いてください」
「そ、そうだね・・・」
僕は机に向かって集中しようとしていたが、気が散って出来ていなかった。すると、部屋をノックする音が聞こえてきた。
「誰だ」
「ダンです。少しよろしいでしょうか」
「入ってくれ」
ダンは恐る恐るドアを開け僕の顔を見て固まった。僕はそれを見て笑顔で迎えた。
「何かあったかい?」
「実は折り入ってご相談がありまして」
「あの頃みたいに話してくれても大丈夫だよ」
「いえ、流石にご無礼になるのでご容赦を」
「そうか、それで相談というのは?」
「魔法兵の隊長の様子がおかしいので・・・ニーナ様もいらっしゃらないので誰に相談すればいいのか分からずここに参りました。」
確か・・・隊長はナグアって女の人だったね。戦争で生きて帰ってきた人だったはず。
「分かった。彼女はどこに?」
「それが兵舎の部屋で籠ってる様子で、食事も最低限で話しかけても無理した笑顔をしてすぐに部屋に戻ってしまって」
「じゃあ、自室にいるんだね。一緒の部屋の子は何か言ってたかい?」
「いえ、私は男ですので近寄りがたく・・・」
「君も初心だね」
少しダンは恥ずかしそうにしていた。
「からかわないでください」
僕は軽く笑うと立ち上がった。
「じゃあ行こうか」
「いいのですか?」
「このまま居ても仕事に手が付かなくてね」
2人の従者は立ち上がると頭を下げた。
「では、私共はこのまま作業しております」
「ああ、すまないが頼むよ」
僕とダンは兵舎へ行きナグアの部屋を訪ねた。
「ナグア!居たら出てきてくれないか?」
「・・・はい」
出てきたナグアは人が変わったように静かで痩せて、まるで一時のニーナのようだった。
「殿下、すいません・・・このような姿で」
「ほ、本当にナグアかい?」
「私です・・・ナグアです」
ダンが言ってた笑顔っていうのはこういう笑顔の事だね。
ナグアは無理に笑顔を作ろうとしていた。
「ナグア、最近体調の方はどうだい?」
「何ともありませんよ」
弱弱しくナグアは笑顔を作って言った。それを見てダンは思わず声を上げた。
「隊長!そんな顔で何ともないなんてありえませんよ!!訓練だって・・・」
僕はダンの言葉を遮った。
「そうか、じゃあ僕と話さないか?」
「恐れ多いです」
「きっと君は戦争の事を引きずってるんだよね」
「・・・はい」
「聞かせてくれないか?」
「・・・思い・・・出したくありません」
ナグアはとても暗い顔になってドアを閉めようとしたので僕は急いで閉めるのを止めた。




