動き始めた
アンナは周りのクロフォード家の人間に気づかないような素振りで私に近づき手を握った。
「ニーナ様~早く戻ってきて・・・」
アンナは力なくそう呟くとベッドに突っ伏した。
「アンナ・・・」
父がその姿を見て力を抜くと母はユミナに突っかかった。
「エリック殿下はどこですか?」
「お答えできません」
「教えなさい」
「申し訳ございません。教える事はできません」
「いいから教えなさい!!」
ユミナは無言になり一礼した。
「分かったわ」
そう言って部屋を出た母は大声を上げた。
「私はイリーナ・クロフォード!!エリック王子!!出て来なさい!!」
廊下で騒ぎ始めた母を父は止めに走った。
「ニーナ・・・戻ってきて・・・」
姉は私の手をおでこにくっつけて祈るように目を瞑った。
私はまだ・・・夢の中で諦めた顔をして立っていた。
「お前が悪い」
「お前が手を出さなければ死ななかった」
「お前の所為で魔法兵も死んだ」
「みんなお前を恨んでる」
「お前はなぜ生きている」
そんな言葉がずっと飛び交い私は目の前の影の人を無意識に見て、縋りたくなっていた。
「誰も助けてくれやしない」
「助けてくれる人をお前は殺した」
「いずれはテラゴニアの人も殺すぞ」
私は気が付くと頭を抱えてしゃがんでいた。
動く?
体を動かせるようになっていた。まだ近くに居た影の人に手を伸ばした。触れることも出来ず空を切った。
「お前が縋る事の出来る人はこの世に居ない」
「あの王子もいずれ殺される」
「クロフォード家もいずれ潰される」
「みんなお前の所為だ」
私は壊れた人形のようにそのままへたり込むと下を向いていた。
「昔のように死ねばいいよ」
その言葉に自分の首を絞め始めた。
目が覚めるとまた夢の中に居た。しかし、不思議と手が温かく感じた。
「逃げることは出来ない」
「恨まれることをしたんだ」
この温かさは・・・それに誰かが私を呼んでる?
私はどうやったら夢から覚めるのか分からなかった。立ち上がり、辺りを見渡した。
「でなきゃ・・・」
私は歩き回った。何もない空間をどこへ行ってるのかも分からずに。
【エリック】
従者は僕に食事を持ってきてくれていたが、僕は食べる気になれなかった。目にはクマができていた。
ある時、一人の女性が部屋のドアを勢いよく開けた。
「エリック殿下!いらっしゃるの!!」
「誰だ!」
従者は警戒し、その女性と揉めているようだった。
「邪魔をするな!!」
「いけません!!殿下はお疲れなのです!!」
「疲れていようがニーナを放っておくような人間!一発ぶん殴らなきゃ気が収まらないわ!!」
「不敬罪になりますよ!!おやめください!!」
「うるさいわね!!この国の王子だからって友達をこんな姿にして許せるわけないじゃない!!」
僕は恐る恐るその女性を見た。あの時、助けてくれた女性だった。




