悪い旗色
【エリック】
僕は兵を率いてツラバスの城へと進んでいった。父と兵達は何も言わずに付いてきていた。
ニーナを守るのは僕だ。僕しかいないんだ!絶対に勝つ!
進軍を続け、城壁が見えてくる程近くまで来ていた。周りは見通しがよく隠れる事も出来なかった。
進軍を続ければすぐに気づかれる・・・
父と僕はそれを眺めながらどうするかを話し合っていた。
「ここまで来たのは初めてだが・・・攻める手立てが無いな」
「ええ、覚悟を決めて突っ走るか遠距離からの攻撃か・・・」
「魔法もあそこまでは届かん。騎兵も多くないぞ?」
「クッ・・・何かいい手は」
「あの時の者を呼べ!」
王はそう言うと一人の男を呼んだ。
「お呼びでしょうか」
「お主の情報を聞かせよ」
僕はこの人が誰なのか分からずに首を傾げていた。
「こやつが送っていた間者だ」
「え!?」
「見つかったので逃げていたから連絡が遅れたらしいぞ」
間者をしていた人は軽くお辞儀をすると話し始めた。
「僭越ながら・・・ツラバスは現在の王になってからは民からの信用は無く、おそらくこの戦争でも酷い扱いを受けるものと想定されます」
「酷い扱い・・・」
「はい、少し言葉は悪いですが、肉壁と言うところです」
「なっ!」
「なので、正面から行けば民を盾にして我々を民ごと攻撃されると予想されます」
「側面や裏側はどうなっている?」
「裏も側面も多少兵士が少ない所はありますが、どこも国民が多く城まで辿り着けないとかと思います」
「城壁を崩すだけでも大変だというのに・・・」
僕は焦りを感じながら作戦を練ろうと頭を回転させていたがいい案は出なかった。
「やはり・・・ニーナの力が必要だろう」
「いや!ニーナはこのまま休ませる!」
「そうか、なら如何にして城を攻める」
情報が足りない・・・今の兵力は・・・兵器の準備は・・・
「攻城兵器は持ってきているか!」
僕がそう言うと兵の一人が走って報告してきた。
「ハッ!数台はもうすぐ到着いたします」
「種類は!」
「術式型大砲数台、カタパルトが数台です。他の大砲に関しましては移動に手間取っているようで・・・」
「分かった」
本当に手詰まりじゃないか・・・このままでは攻めることもできない・・・
「兵器を確認かしかし、兵力が足りない所為か移動するのも、ままならぬようだな」
王はツラバスの城を遠目で見てそう呟いた。
兵力か・・・今まで拡充しきれなかった所為かな・・・
そして僕はその場に居た貴族の一部が居なくなっているのに気が付いた。
「父上・・・」
「逃げたな・・・今までアルゴスという存在に胡坐をかいていた結果だ」
「僕では駄目なのか・・・」
「気にするな、あやつらはそういう人間だ」
騎士の一人が前に出てきた。
「我々は陛下や殿下を死なせはしません!ご指示を!」
後ろの兵達もやる気が出て声を上げていた。
「やはり、お主の一声は違うな」
父はそう言ってその騎士を見てニヤリと笑った。
「恐れ入ります」
その姿を見て残った貴族達も功績を残そうとやる気を出していた。
「父上・・・僕は城を攻めたことはありません・・・お知恵を頂けないでしょうか」
「私も攻めたことは無いな。だが・・・ニーナの魔法兵達が居るのだ賭けてみるのも悪くないかもしれんな」
そうして僕達は兵器が到着するのを待った。




