窶れ
テラゴニアの報復攻撃は続き砦を回って行った。
ある砦は巨大な氷柱を飛ばし一気に穴を開け、ある砦は竜巻を起こして吹き飛ばし、ある砦は地面を尖らせて串刺しにして砦を破壊した。私は淡々とそれを行い、少しずつ壊れていくのが分かった。
【ツラバスの王】
「報告します!!」
玉座に居た私の前に兵が一人走ってきた。
「テラゴニアか?」
「はい!砦が次々と陥落していき兵が城に逃げて来ております!」
「兵の数は・・・」
「砦を攻めてきているのは50も居ない人数だったと」
50も居ない兵にどうやって落とされたというのだ!
「なに?どういうことだ!アルゴスはもう居ないのだろ?居たとしても老いぼれで使い物にならんはずだ!」
「それが、若い女性が一人で落としていっているようで・・・」
「若い女だと・・・?」
若い女?それが次のアルゴス・・・ということか?
「すぐに兵を用意せよ!この城までおびき寄せるのだ!」
どんな顔なのか見てやろうではないか・・・
「え!?よ、よろしいのですか?」
兵士を睨みつけると兵士は怯んだ。
「なんだ?私に口答えするつもりか?」
「いえ!直ちに!!」
兵は急いで走って行った。
所詮は平和ボケした国だ。砦を落とせたとしても城までは落とせんだろ。それに我々には帝国の兵も付いておるからな・・・
後ろから騎士の恰好をした男が出てきた。
「おや、帝国の騎士様がいかがなされましたかな?」
「帝国の兵はすぐには来んぞ」
「大丈夫ですよ。我が城はそんなに脆くはありませんからな」
「国民も居るだろ」
「あいつらは我が国の礎にでもなってもらうさ」
「・・・そうか」
騎士はそのまま外へと出て行った。
気に食わん奴だ。何を考えているのかも分からん。しかし、下手な事は出来んからな・・・テラゴニアさえ取ってしまえば、あの広大な国は私の物になり、あの国から侵攻されてもいくらでも立て直しが出来るようになる。食糧もテラゴニアの愚民を使えばいいだろ。
【ニーナ】
何日も何カ所も砦を落とし、それにつれて私はどんどん窶れていった。食事は喉を通らず、睡眠もあまり取れなくなっていた。
寝ようとすれば壊した砦の兵達の姿が夢に出て、食事を摂るにも人を殺した感覚が抜けなくて気持ちが悪い。本当に必要な事なのよね・・・
「ニーナ、何か食べないと・・・」
「エリック・・・私・・・」
「寝てもいないだろ」
「ええ、兵達の呻き声が・・・」
「すまない、こんな事に巻き込みたくは無かった」
義父も近くにやってきた。
「城を攻めるのも近い、体調を戻しておけ」
「父上!あんまりではありませんか!」
「実際、ニーナが居なければ攻めたところで負けるだけだったのだぞ?」
「・・・それなら守っていればよかったじゃないですか!!」
「消耗戦になれば勝てるとでも思ったか?我が国の兵力で」
「しかし、このままではニーナが!」
アンナを義父は捕まえた。
「ニーナよ・・・この侍女ためにも生きてもらうぞ」
「アンナ・・・アンナは関係ありません・・・」
「お前の侍女だろ?もしここでお前が倒れればこやつも死ぬ」
「・・・その手を放しなさい」
無表情で義父の目を見た。義父は鼻で笑った。
「離さなかったらどうするというのだ?」
「お義父様だとしても私は許しません」
「許さなければなんだというのだ?私を殺すというのか?」
私は体から靄を発し始めた。その様子を見てエリックは急いで私を止めた。
「駄目だニーナ!落ち着くんだ!」
「アンナを離しなさい!!」
義父は乱暴にアンナを離しそのまま移動していった。それを見て私の体から靄は消えていった。
「少し眠るんだ・・・ニーナ」
「駄目・・・兵士が!」
「僕もアンナさんも居るから・・・」
私は力を抜いていった。アンナの方を見て手を伸ばしながらゆっくりと・・・




