懐かしいダン
私は戦争の話を聞いてしばらく日が進むと国境付近で隣国の兵の姿が見えたと報告が上がってきていた。
義父とエリックは警戒を強め、兵達を集め始めていた。
「騎士や貴族を集めても数ではかなり劣るな・・・」
「ええ、加えて魔法兵も増えませんでしたし」
「兵器の様子はどうだ?」
「最低限の物は用意できていますが・・・おそらく」
「砦を落とせれば良い方か・・・」
「もう話し合いでは片付かないのですね」
「ああ、行けば確実に消される」
【ツラバスの一室】
小太りで軽く髭を生やした少し小さめの男が騎士らしき人に話しかけていた。
「それで、テラゴニアの連中は何を探っていたんだ?」
「我々の戦力、動向辺りでしょうか」
「ほう、ようやく気にし始めるようになったか愚王は」
「いかがなされますか?陛下」
「テラゴニアが焦って準備を始めたところで我が国には勝てんさ」
「しかし、アルゴスがまだ居るかと」
「あの老いぼれが居たところで知れている」
「では、戦の準備を!」
「まあ待て、ヘレテの使者を待ってからでも遅くはないだろ」
ツラバスの王らしき男は不敵に笑っていた。
【ニーナ】
義父とエリックはまだ話し合いを続けていた。
「このまま勝ち目の薄い戦争をするより話し合いで!」
「だからさっきも言ったが、それは無理だ!出来たとしても属国になるだけだ!」
「では、戦って滅亡する方を選ぶと?」
「そうならぬように私はニーナに頼んでおるのだ」
「ニーナ1人でどうにかなる話でも無いですよ!!」
「だとしてもだ。今頼れるのはニーナしかおらんのだ」
「まだ時間はあります。何か打開策が無いか考えませんか!」
「それは既に宰相とも兵士長、騎士、貴族を含め話し合った」
エリックは必死に訴えたが義父は首を縦には振らず、私に頭を下げ続けた。
そして私はそれから魔法兵の元に行く時もエリックと会う時も不安などの様子を態度、表情には出さないように気を付けて過ごすことにした。
どんどん日が進んでいき、私は19歳になり、アルゴスが隠居をする事を決めた年となった。
義父はその話を聞いて城に住まないかとアルゴスに提案していたが、アルゴスは断り「旅に出る」と言って姿を晦ましてしまった。
私がその事を知ったのはアルゴスが姿を晦ました後の事だった。
先生・・・アルビーネさんを追いかけて行ったのかな。会えるといいな・・・
私は少し増えた魔法兵を面倒見ながらダンの姿を見かけた。
「ダン!」
「あの時の!」
「覚えていてくれたのね」
「ああ、あれから勉強したからな、今ならあの氷の壁を壊せるぜ!」
「それは楽しみね!でも、魔法兵になったの?」
「いや、騎士の勉強をしながら兵士としても訓練してくるように言われたから、ここに来たんだ」
「誰に?」
「誰って、もしかしてあの書状の中身教えてもらってなかったのか?」
「もしかして書状ってあの時の?」
「鈍いやつだな・・・あの時はすぐに俺の事調べ始めたっていうのに」
「エリックがそうしたのね」
「いいのか?一国の王子様を呼び捨てにするなんて」
「私の夫よ?」
「え?」
私は笑いながら、固まったダンを見ていた。




