戦争の足音
馬車は式典用になっていて、顔が見えるようになっていた。私は少し恥ずかしがりながら王子の横に座っていた。王都の人はみんな笑顔で祝福してくれていた。
「ほら、ニーナ笑って」
「ええ」
笑顔を作り、王都の人達に笑顔を見せて行った。
一通り回ると城に戻ってきて王は私達の結婚を宣誓して、なぜか私が居た世界と同じようなキスと指輪の交換が行われた。
人前でするもんじゃないわよ・・・キスなんて
そして私は王子と夫婦になった。
式典が終わった次の日の朝食の時、王は私と王子を呼んだ。
「さて、お前達は夫婦でいずれ王と王妃になる訳だが・・・子供の事を話したくてな」
私は反射的に顔を赤らめて手で顔を隠し、王子も少し顔を赤くしていた。
こ・・・子供って!いきなりそんな!
「・・・急ですまんな、しかし、子供を作るのは少し待ってもらいたいんだ」
私と王子は顔を見合わせて一息ついた。
「隣国の事ですか?」
「ああ、間者からの連絡が途切れた」
「消された・・・と?」
「いや、まだ分からんがあまり良い兆候ではないのだ」
戦争が近いということかしら・・・
「父上・・・僕が交渉に行った方が!」
「間者が消されたのであれば行けばお前の首が飛ぶだろう」
「では、戦争をすると!」
「おそらくそうなる、間者が気づかれた場合は報復を理由に・・・気づかれなかったとしても我が国へ侵攻してくるだろう」
「しかし、それとこれとどのような意味が・・・」
「すまんな、ニーナ」
急に王はこちらを向いて謝りだした。
「おやめください!義父様!」
「お前を戦争に駆り出そうと思っている」
王子は机を叩き立ち上がった。
「なぜですか!?」
「魔法兵を完成させたのは確かだが・・・相手の様子を聞いていると足りないのだ」
「足りない・・・?」
「向こうには魔法兵、千は居るということだ」
「千・・・」
「兵士の数もこちらが圧倒的に負けている」
「でも、なんでニーナが!」
私は無表情になり一言呟いた。
「アルゴス先生の再来・・・」
「その通りだ」
王子は歯を食いしばって悔しさを滲みだしていた。
「もっと早く手を打てていれば・・・」
「エリック・・・それは違う」
「何が違うんですか!!」
「私が悪かったのだ・・・あの校長に縋って何もしてこなかった私が」
「父上の尻拭いのためにニーナが戦争に行くと言うことですか!!」
私は王子を止めに入った。
「エリック言いすぎですよ!!」
「いや、君の事だ!なんで戦争なんか!!」
「落ち着いて・・・エリック」
私はエリックに手を伸ばし袖を掴んだ。
「ニーナ・・・」
「初めからそうなると思っていましたから」
私は笑顔を作り王子の顔を見た。王子はその顔を見て何かを感じたのか口を閉じた。
「すまない・・・もっと早くに手を尽くしていれば・・・」
重苦しい雰囲気のまま食事が運ばれてきた。そしてその雰囲気のまま食事を進めて行った。




