リリアンナとのお茶会
社交界が終わると私は王子と兵士に案内されてリリアンナの元に居た。
「ごきげんよう、ナナシ様」
「リリアンナよ」
「この方で合ってますか?エリック殿下」
王子はリリアンナを睨むと軽く返事をした。
「さあ、真夜中の殺風景なお茶会と行きましょうか?」
「嫌よ。眠いもの」
「お子様みたいね」
「なんとでも仰い」
拗ねた様子でリリアンナはそっぽを向いた。
「こんな殺風景な部屋で一夜を過ごすのは嫌でしょ?」
「私にこんなことしてただで済むと思ってるの!」
「またそれですか?」
「あなたのような田舎娘が調子に乗るんじゃないわよ!」
「どっちが悪女なんだか・・・」
「あなたの方でしょ!」
「腹黒でものどぐろでも何でもいいですが・・・答えていただけますか?」
「のどぐろって何よ!」
王子は一瞬不思議そうな顔をしたがリリアンナに視線は戻って行った。
「あなたの名前と家柄教えていただけるかしら・・・この国の王子もいらっしゃいますから虚偽の名前を言わないようにお願いいたしますね」
リリアンナは急に笑い出した。
「私が違う名前を出しても本人とは分からないでしょ?どうやって証明したらいいのよ」
「では、招待状を見せていただけますか?」
「残念ね・・・」
そこにあった招待状の名前の所が綺麗に切り取られていた。
「そこまでして名前を隠したいのですか?」
「名前を隠す?元からよ?」
ここまでするとは思わなかったわ・・・城の中で招待状を切っていたなんて用意周到ですこと・・・
「じゃあ、後日君の両親に合わせてもらおうかな」
王子はそう言って前に出た。
「お茶会にしてはお茶も出ないのね~」
「はぐらかさないでくれるかな?」
私はユミナを呼びお茶を準備させた。そしてそのままリリアンナの顔を笑顔でみた。
「本当の事を話さずに言葉を飲まれては困りますからね。本当の事を話してもらったらお茶会の始まりとしましょ?ナナシ様」
「あなた・・・いつまでその呼び方をするの」
リリアンナは苛ついていた。
「あなたが誰なのか分からないですもの仕方がありませんわね」
「リリアンナと名乗ったでしょ!」
「偽名・・・ですよね?」
「なぜ言い切れるの!」
「エリック殿下からブラックマンなんて家はこの国に無いと聞いておりましたので」
「あら、エリック王太子殿下が言えば私は黒になりますの?」
「黒とブラックマン掛けていらっしゃるのかしら?」
「違うわよ!!」
「この国の貴族の事を管理なさっていますので信用性は高いでしょう?」
「そこの王太子が嘘をついているかもしれないじゃない!!」
「あまりにも無礼ですよ・・・ナナシ様」
ユミナは静かにお茶を入れ、私たちの前に並べて行った。
「あなたが名前を言うよりもお茶が入る方が早いなんて・・・子供の方がまだ自己紹介はうまいわよ?」
リリアンナはカップを持ち上げた。そして私に向かって投げつけた。魔法の障壁でそれは全て弾かれていった。
「何なのよ!あなた!」
「ここまで来ると、手に負えませんね」
「僕も同感だね」
「お茶会の一つもこなせないなんて、貴族じゃなかったのかしら」
リリアンナは歯軋りをしながら私を睨みつけた。
「本日はこれくらいにいたしましょう。殿下」
「分かった」
「今に見てなさい」
最後の最後までリリアンナはそんな態度をとっていた。




