悪女だなんて
リリアンナは少し驚いた顔をしたが、私はいつもの様子に戻って行った。
「私の家の事知らないとでも言うの!」
「ええ、存じ上げませんわ」
「田舎娘のくせに!!」
「田舎者ですのでご容赦ください。それで?あなたのお家はどこですか?」
わざとらしく煽るとリリアンナは引き攣った笑顔を見せた。
「あら、猫被っていたのね、なかなかの腹黒じゃない」
「貴方ほどではないわ、お家が分からない迷子は兵士に連絡いたしませんとね」
「放っといてくださる?」
「ご遠慮なさらずに、私も初めはよく迷いましたから・・・」
「癪に障る言い方はよしてもらえるかしら」
リリアンナからは笑顔が消えた。
「あら、そんなお顔もできたんですね・・・ナナシさん」
「リリアンナって言ってるでしょ!!」
リリアンナは声を張り上げた。
「あら、いきなり声を上げるなんてはしたないですわ。それに殿下に気づかれますよ?」
「疚しい事なんてしていませんから逃げる必要はございませんわ」
「逃げたなんて言ったかしら・・・」
「この小娘調子に乗るんじゃないわよ」
「あら、怒らせちゃったわね・・・怖いわ~」
リリアンナは私を睨みつけて、今にも飛びかかろうとしていた。
「それとね・・・名簿の話ですけど・・・」
「あなた聞いていたの?」
「多分こうなると予想しただけですわ」
「チッ小賢しい・・・」
リリアンナは舌打ちをしながら腕を組んだ
「ここにも実はあるのよ?そして名前はありませんの」
「でも、ほら・・・ここに招待状はあるわ」
「もしかして家が小さすぎて見えなかったのかしら・・・私にすら教えてくれませんでしたし」
「はあ?そんな訳無いでしょ?」
「でしたら・・・その招待状の名前見せてもらえるかしら?」
「ど、どうしてそんなことしないといけないのよ」
「怖いの?」
「ふざけるな!」
リリアンナはまた声を上げた。そして気が付くと兵が集まってきていた。
「リリアンナ様・・・ご一緒にいかがですか?」
「何をよ・・・」
「そうですね・・・殺風景なお茶会なんて」
兵は少しずつ近づいて行った。
「これが狙いだったの?」
「いいえ?思ったより声を上げてくださいましたので・・・」
「悪女の才能でもあったんじゃないの?」
「悪女ですか・・・嘘つきにそんなこと言われても何とも思えませんよ?」
「私に手を出してただで済むと思ってるの!」
「王族を謀ってただで済むと思っていた方が驚きだわ」
「この女・・・!」
兵はリリアンナを拘束した。
「覚えていらっしゃい!」
「名前を教えていただけたらぜひ覚えますわ」
リリアンナは悔しそうな顔をしながら連れていかれた。その後、王子は私を探してやってきた。
「居なくなるなんて思わなかったよ」
「ごめんなさい、少し用事ができましたので」
「もういいのかい?」
「ええ、社交界が終わったら少しお茶会を開こうかとは思っていますけど」
私はそう言って微笑むと王子はよく分かってない顔をしていた。




