他の人の気持ち2
王妃は私に近づくと睨みつけた。
「だから言ったでしょ、婚約前なら逃げられると」
「はい・・・」
私は下を向いた。
「貴女が今逃げればクロフォード家にも迷惑が掛かると分からないの?」
「分かります。なので、私はどこかで一人で居ようと思います」
「何をして?」
「魔物を倒して過ごそうかと・・・」
「野蛮ね。貴族の令嬢がそんなこと許されると思ってるのかしら」
「私には自分の魔法しか無いんです・・・」
「ええそうみたいね」
「申し訳ございませんが、私はここに居るべき人間では無かったのです」
「そんな言葉で逃げられると思ってるのかしら」
「ですが!」
王妃は私の顔を引っ叩いた。
「そんな事で逃がすと思ってるの!エリックが選んだ子を!」
私は混乱していた。
私を嫌っていたんじゃ無かったの?
「貴女の事も心配だったのよ・・・最初のあの壊れた姿を見てどれだけ心配したと思ってるの!」
え?でも、逃げる事を進言してくれてたんじゃ
「貴女が壊れるくらいなら、逃がしてしまった方がいいと何度思ったことか!」
私は王妃様の気持ちを何一つ理解できていなかったの?
「貴女はここに居ていいの・・・逃げないと覚悟して婚約までしてくれたのですから、他国にも行かず、他の女性達にも負けずに居てくれた貴女だからこそ!」
私は混乱しすぎて訳が分からなくなって泣き出してしまった。
「貴女の居るべき場所になったのよ・・・」
そして私は、王妃に抱き寄せられながら泣き続けた。
すると、王はその様子を見て何も言わずに部屋に戻って行った。
ユミナは私から鞄を取り上げると荷物を戻し始めた。
「あ、ありがとう・・・ございます・・・」
「礼よりもこれからどうするか考えなさい!」
みんなに謝って周らないと!
動こうとした瞬間アンナにドレスを掴まれ盛大に前に倒れてしまった。
「どうせ謝りに周るつもりなんでしょ!そうはさせるもんですか!!」
「あ、アンナ?」
「ニーナ様は精一杯やったんです!褒められる事はあっても責められることはありません!!」
王妃はその様子を見て大笑いし始めてしまった。
「珍しい侍女だわ!!こんなに頭が悪いのにちゃんとした事を言えるなんて」
私とアンナはその場できょとんとして王妃の様子をうかがった。
「あ・・・あの~」
「ええ、問題ないわ!貴女の侍女だものこれくらいはするわね!」
王妃は笑いが止まらない様子だった。
「ニーナ様お片付けの方は終わりましたので本日はお休みくださいませ」
「ありがとう、ユミナ・・・でも、やることが」
「あなたは根を詰めすぎているのよ。みんな心配しているわ」
王妃はまだ笑いをこらえながら震えてそう言った。
「ご心配お掛けして申し訳・・・」
「謝らなくていいと言ったでしょ」
その場に居た人はみんな分かったと言わんばかりの顔をして私を見ていた。その表情に私は安堵した。




