他の人の気持ち
私は母から譲り受けた鞄に荷物を詰めて出ていく準備が整いはじめていた。
「アンナ、あなたはどうするの?私は出ていくことになると思うけど・・・」
「え、どうしてですか?」
「私は約束を守れなかったの・・・陛下からの約束を」
「どんな約束だったんですか?」
「式までに1人は使える魔法兵を作ること」
アンナは首を傾げて考え始めた。
「アンナ?私はもうすぐ準備が終わるわ、後はあなたよ」
「ニーナ様~使えるってどの程度が使える兵なんですか?」
「え?一人で砦の破壊が出来る人かな?」
「でも、具体的には何も言われなかったんですよね?」
「ええ」
「だったら、結果を急がなくてもいいんじゃないですか?」
「でも、陛下のあの様子を見たら・・・」
アンナは私に近づき手を止めさせた。
「陛下も何か言いましたか?」
「いいえ、でも、きっと落胆されて・・・」
「エリック殿下も言ってくださったじゃないですか!あれで十分だって」
「でも、これじゃあ」
アンナは顔の目の前に顔を持ってきて私の目を見た。
「ニーナ様、どうなさりたいのですか?」
「私は・・・」
ドアが勢いよく開いた。そしてユミナが息を切らして走ってきた。
「お、お待ち・・・お待ちください!」
「ゆ、ユミナ?」
「た、ただいま・・・エリック・・・殿下が参りますので・・・少し・・・お待ちいただけませんか?」
「落ち着いてユミナ」
「はい・・・」
ユミナは息を大きく吸って吐いた。そうしていると後ろから足音が聞こえてきた。
「な、なにをしているんだ!!」
王子が部屋に急いで入ってきた。
「殿下!?」
「何をしているんだと聞いたんだ!」
王子は軽く怒ったような顔をして私に迫ってきた。
「わ、私は・・・」
「僕に任せてと言ったじゃないか・・・どうして待ってくれないんだ」
「ご迷惑をお掛けする事に・・・」
「いいんだ!それより僕を置いていく方が罪だ!」
私は王子に詰められてどうしていいか分からなくなっていた。
「でも、私・・・約束を・・・」
「大丈夫だ、それを含めて僕が何とかするから」
「私このままじゃお役に・・・」
「僕の隣に居てくれるだけでいい」
私は王子の必死の言葉に完全に思考が停止した。そして脱力してその場に座り込んで動けなくなってしまった。そして王子に優しい顔で抱き寄せられた。
「だから、もう少し待って・・・」
そうしているとドアの所に王妃もやってきていた。
「今更逃げるなんて許されると思ったの!」
「母上!」
王妃は王子が前に来るのを手で抑制すると私に近づいて来た。
「エリックはこのまま王の元へと行きなさい。ここは私が」
「分かりました」
そうして王子は走り去っていった。




