さよならの準備
「私の見解は、まだ未完成ですね」
そう言いながら私は肩を落とした。
「ほう・・・」
私はまた壁を作らせると、小さな火の玉を軽く貯めて少し変色したところで放った。すると、あっさりと全部の壁を貫通していった。
「壁にしても、攻撃にしても1人では厳しいものがあるかと思います」
魔法兵は悔しそうにしていたが、王は冷静に聞いていた。
「今のままではご期待に応えられる兵はいません・・・」
「そうか・・・」
王は立ち上がると無言で城の中へ入って行った。
ああ、駄目だった・・・これで破談になるのかしら・・・漫画でよくある婚約破棄・・・最悪のパターンだわ。
王子と王妃はその場で驚いたままだった。
「王妃殿下、陛下はお戻りになられましたよ」
王妃は気が付くと王の後を追って城の中へと歩いて行った。
「本当にこれじゃダメなのかい?」
王子は我に返るとそう呟いた。
「ええ、これでは城門を壊すのか広範囲に被害を齎すのかどっちかになります」
「それでも僕には十分すぎる成果だと思うよ!」
「いえ、陛下も分かっていらっしゃるはずです」
「いや、これなら大丈夫だ!後は僕がなんとかする!」
王子はそう言うと城へと走って行った。
「みんな~おつかれ・・・さ・・」
振り返るとナグアや他の魔法兵が涙を流していた。
「・・・ごめんなさい」
私はその場で頭を下げ謝った。
「あなたたちを導けなかった・・・全部私の責任です」
その場に居た兵は全員頭を下げた。そしてナグアも同じように下げながら話し始めた。
「いえ、ニーナ様に教えていただいたおかげでここまで来れました。私達はこの事を誇りに思っております。決して誰もあなた様の所為とは言いません!」
マカオンは頭を掻きながら顔を上げた。
「姫さんよ~いや、ニーナ様が居なかったら今頃俺達は追い出されていたと思うぜ?魔法を知っている奴も知らない奴も同じようにな。だからそんな顔しないでくれよ」
口々に兵達はそういった言葉を掛けてくれた。
「でも、私はあなた達の事を・・・」
「本音で言っていただきありがとうございました。私は嘘で強い兵だと言われるよりもこちらの方がどこか安心します」
私は涙を堪えつつ顔を上げて兵達に「元気でね」と言って城の中へと歩いて行った。
その後、私は部屋に戻ると無言で身支度を始めていた。
「・・・ニーナ様?」
アンナは声を掛けながらどうしたらいいのか分からない様子で近くに居たが、ユミナはどこかへ行ってしまった。
身支度をしても・・・私に帰る所はあるのかしら・・・クロフォード家にも迷惑かけちゃったわ・・・タリア様には笑われるでしょうね・・・約束もしたのに・・・
持ってきた物を鞄に詰めてここで貰ったものは全てそのままにした。




