ヘレテ帝国の狙い
王は悔しそうな顔をしながら椅子を叩いた。
「ニーナよ!他に何か言っておらんだか?」
私はその勢いに少し押されながら話を続けた。
「私が聞いたのは、この国で第2のアルゴス様が作られたと言われ、私を殺すか拉致するつもりだったようです。そして隣国のツラバスへ挟み撃ちを仕掛けるためにテラゴニアを取るのかと聞くと浅はかと言っておりました」
「奴らの狙いはなんだ・・・それにニーナを取ったところで我が国を攻める意味は薄いはずだが・・・」
ヘレテ帝国は山岳を隔てた所にある国で仮にテラゴニアを襲おうと思うと山岳を越えてくるかツラバスを経由する事になる。ツラバス王国とヘレテ帝国が同盟を結んでいてテラゴニアを取りに来ているのであれば・・・
「ツラバスの侵略・・・」
「うむ・・・その線も考えなければならぬ時が来たということだ」
「父上!遅くなり申し訳ありません」
「大体の話はニーナから聞いた」
「そうですか・・・ヘレテの狙いは一体・・・」
「分からん。仮に彼奴らが我が国を取ったとしても何の旨味も無いだろう」
この国にあるのは広大な土地と自給自足ができるような農地・・・後はちょっとしたダンジョン・・・何が狙いかしら・・・
「拡充・・・?」
「いや、テラゴニアを取ったところで兵は居ない」
「アルゴス先生の生徒などは?」
「魔法使いの拡充か・・・」
「僕はその線は薄い気がするよ。隣国が関わってるとしか思えないんだ」
3人は考え込んでいた。そこに宰相が現れた。
「どうしましたか?」
「遅いではないか!」
「申し訳ございません!先ほどの男の事を調べておりましたので」
「消されていなかったか!!」
「いえ、消されました」
「やはりか・・・」
「ですので・・・何か情報は無いかと探っておりました」
「それで何か分かったのか?」
「この国の者では無いという事しか分かりませんでした」
王は少し怒り気味になった。
「クッ、国に入られるだけでなく情報をまんまと持って帰らせる事になるとは・・・」
「情報を?」
私は軽く宰相にもその話をした。
「不穏ですね・・・」
「今後は国境の管理を徹底せねばならぬな」
「では、そのように手配を進めさせていただきます」
「ニーナよ・・・すまぬが魔法兵を急ぎ教育していってもらおう」
「はい、分かりました」
「エリックお前は対策を講じよ」
「ハッ!」
その後王は何かを考えながら部屋へと戻って行った。その後を宰相も付いていくように部屋を出て行った。
「社交界の話あれは真っ赤な噓だったよ」
「え?」
「リリアンナという女性は招待していないと言われて」
「じゃあ・・・一体」
「僕達は最初から騙されていたのかもしれないね」
王子は悔しそうな顔を浮かべていた。私はそれをただただ見ていることしかできなかった。




