バリナス・ローレナー
バリナスに手を引かれながら私は部屋を出ていた。
「あのどちらへ!」
「少し落ち着ける所さ」
そしてバリナスは空いている部屋を使用人に訪ねてその部屋へと移動した。
エリック、私どうしたらいいの・・・
「さて、ここなら問題は無いですね」
「あなた、何が目的なのですか」
私は何となく警戒を始めた。
「ええ、お話をと思っただけですよ」
「二人きりじゃないとできないお話ですか?」
「そうですね、私はあまり聞かれない方がいいかと思いまして」
「では、その話とはなんですか?」
「単刀直入に言います。ヘレテ帝国へいらっしゃいませんか?」
私は部屋の入口へと移動した。
「お断りいたします」
なぜかドアが開かなかった。私はドアの方へ目を向けさらに引いたが開かなかった。すると、バリナスは私の手を取り顔を近づけた。
「何をするのです!おやめください!!」
「こういう時は便利ですね。魔法というのは」
魔法?いつ!気が付かなかった。術式かしら
「お察しの通り術式ですよ。簡単には開かないように向こう側で凍らせてあります」
「私をどうするつもりですか?」
「断られるのは見えていたので・・・こういうのはどうでしょうか」
バリナスは私の口に何かを入れようとして来ていた。私は魔力を纏い振り払いドアを蹴り開けた。
「あなたは何をしようとしたのか分かっていらっしゃるの!」
バリナスは両手を挙げた。その反応に私は違和感を感じ距離を取ろうとした。すると、後ろにもう一人誰かが居た。私はナイフを突きつけられていた。
「お嬢さん悪戯はここまでにいたしましょう?」
しゃがれた声のフードを被った怪しい男がそう言って不敵に笑った。
「あなたどうやって・・・」
「簡単なものでしたよ。平和ボケした国に入るなど」
「そこまでにするんだ。あまり喋りすぎるな」
「ハッ!失礼しました」
「あなたの力の一部を見せてもらいましたよ」
私はバリナスを睨み、バリナスは笑顔で近づいて来た。
「やはり、この国で第2のアルゴスを作ったのは本当の事のようだな」
戦力狙いかしら・・・
「間者の情報通りですね」
フードの男は突きつけたナイフを軽く私の首に押し付けると小声で「部屋に入れ」と言った。
私はその通りにして様子を見ていた。
「あまりこういったやり方は好まないんだけど・・・このままその力を野放しにするのも危険だから」
バリナスは私に近づき髪を触った。
気持ち悪い・・・触らないで欲しい・・・
「私に付いてくるか否か・・・もう一度聞こうか」
「私はエリック殿下といつまでも一緒に・・・」
私は頬を叩かれた。頬は赤くなっていたが、私は毅然としていた。
「ならば、ここで君を殺すか眠らせてでも連れて行くことになるな・・・いっそ既成事実を作ってしまうのもありか・・・」
バリナスは冗談を言うようにその言葉を吐き、私の近くをうろついていた。
「あなた達にとっても大事な戦力になりかねない人間をあなたは殺せるのかしら?」
「ああ、あなたを消せばテラゴニアは簡単に落とせる・・・ただでさえ隣国が狙っているのだからね」
「貴方の国がテラゴニアを落としたところで何のメリットもありませんよね?」
「そうですね・・・今はですが」
「隣国を挟む・・・」
バリナスはその言葉に笑い出した。
「浅はかですね・・・」
何?どういうことなのテラゴニアに何があるの




