怖い未来
王子は椅子に座りながら顔の前に手を組み少し考えた後口を開いた。
「君は、アルゴス様がいつまでいてくださると思う?」
「先生ですか?かなりのお歳に見えましたけど・・・わかりません」
「そうだね、僕も分からないんだ。ただ、そう遠くない未来だと思ってるんだ」
「遠くないですか・・・」
「僕の予想では、数年後かな」
「その答えだと下手をすれば1~2年後もあり得ると?」
「その通りだね。このままだと間に合わないんだ」
そうね、アルゴス先生もいつまでも居てくれる訳でもないですし、みんなには頑張ってもらうしかないのでしょうけど・・・
「おそらく父上が最近難しい顔をしているのはそれが原因ではないかと思っているんだ」
アルゴス先生が引退なされば国の防衛は一気に手薄になってしまうわね
「・・・隣国が攻めてくる」
「そうだね。だからその前に手を打とうかとは思っているんだ」
「手を?」
「君だから話すけど、隣国には間者を送ってあるんだ」
そんな簡単に送れるものなのかしら・・・
「大丈夫かしら・・・」
「危なくなったらすぐ戻ってくるようには伝えてあるはずだよ」
「そう・・・」
「僕達は最悪交渉で済ませられればそれでいいとは思っているけどそれより先に手を出してくる可能性もあるからね」
「交渉ですか」
「ああ、対価を渡してでも戦争を回避する方法かな」
もしかしてそれって隣国にいい様にされるだけでは・・・
「ただどこまで譲歩出来るか・・・それを超えて要求してくるのではないかと悪い方の予想はしているんだ」
「交渉が決裂・・・もしくは交渉する前に攻撃されれば」
「戦争になるだろうね」
「じゃあ近場の領地は今とても危険な状況なのでは?」
「だから今どうするべきかを悩んでいるんだ」
2人は落ち着いた様子で考えまた話を続けた。
「砦の建設及び防衛線を張れるようにするのは?」
「砦は補修すればすぐにでも使えるはずだけどその防衛線誰が指揮をしてどれだけの兵を置くのか考えなければならないんだ」
「他に攻めてくる国が無いのであれば8割割いてもいいのでは?」
「そうだね。でも、8割割いた所でテラゴニアの兵力はとても低いんだ」
この国の平和ボケといったところかしら
「では、兵器などの開発は?」
「今からではとても間に合わないよ・・・あったとしても簡易的な物ばかりだろう」
「それだけアルゴス先生に頼っていたのですね」
「あの人は強かったからね・・・一人で隣国の戦線を潰して一気に戦力を削いだ人だから」
あの分身した魔法かしら
「きっとアルゴス様の状況も隣国には伝わっているか予想されていると考えるのが妥当かな」
「それで私達の存在が出てくるわけですね」
王子は苦い顔をし始めた。
「あまり出てほしくないから僕は交渉したいと父上には進言しているところなんだけどね」
「それは誰が交渉に?」
「僕が行くしかないかな?」
「危険です!おやめください!」
私は軽く声を上げて立ち上がった。
「だ、大丈夫だよ。行くとは決まってない、それに何も起きないかもしれないから」
「何かあってからでは・・・」
私は心配で仕方なかった。




