変な沈黙
部屋に戻ろうと歩いていると王子が笑顔で待っていた。
「やあニーナ」
「ごきげんよう、エリック」
「また君は暴れてきたんだね」
王子はそう言うと私の髪を触った。
「兵士の訓練ですわ」
「あんまり無茶はしないでくれよ・・・心配になる」
「この程度なら問題ありませんよ」
そして部屋の方へと一緒に歩くことになった。
「でも、今日はなんで模擬戦闘なんてことしようと思ったのかな?」
「兵士長が広場に人が居ないと寂しがっていたので」
「なんだいそれは」
王子は笑い出した。
「でも、おかげで彼らも少しは考えるようになったんじゃないかしら」
「気合を入れたという訳だね」
「そうなりますね」
「でも、君が狙われているのを見るのは心配になるな」
「無茶はしません」
「そうしてくれると僕も気が休まるよ」
「そういえばエリックは何か用事でもありましたか?」
「いや、君の様子を見たくて」
王子はそういうと私の顔を見ていた。
「ふふふ、うれしいです」
「仕事が無い時はできるだけこうしていたいからね」
「まだこれから時間は沢山ありますよ」
「・・・そうだね」
何か変なことでも言っちゃったかしら・・・
その後変な沈黙が続き部屋の前まで着いた。
「エリック」「ニーナ」
二人の声が同時に出た。
「何かしらエリック」
「いや、君の方こそ・・・」
「その・・・私変な事言いましたか?」
「え?」
「静かだったから・・・何か変な事言って怒らせてしまったのかと思ったの」
「怒ってないよ。ただ、考え事をね・・・」
明らかに目が泳いだ気がしたわ・・・私気に障ること言ったのかしら・・・
「エリックは何を言おうとしたのですか?」
「いや、大したことは無いんだ・・・ただ、また社交界や舞踏会があるかもしれないから準備しておいてと言おうと思ったんだ」
「分かりました。準備しておきますね」
私はそういうとお辞儀して二人を連れて部屋へと入った。それを王子は一瞬止めようとしたが途中で諦めた。
「・・・もう少し話せればよかった」
そう呟いて王子も部屋へと移動した。
「今日もエリックは一人でしたね・・・いつも従者は近くに居ないのかしら」
「ほんとですね~何人かでいらっしゃるところ見たことありませんね~」
「私もいずれ一人になるのかしら」
「私がずっとお傍にいますので心配いりません!」
アンナは胸を張ってそう言うと私は笑顔のままアンナの両手を取った。
「絶対よ?」
「絶対です!」
「ユミナも付いてくれるかしら?」
「お望みとあらば最後までお使いいたします」
ユミナはその場でお辞儀しながらそう言った。
「じゃあ、アンナも勉強ね!」
その言葉に二人の侍女は互いに構えた。
何この空間・・・
私は変な汗をかきながら様子を見守った。




