人生の悩み
王は私と王子を見て安心したのか微笑みながら部屋を出て行った。
厳格なお顔と優しいお顔、どちらのお顔が本当のお顔なのかしらね・・・
「ニーナ、君は本当にそれでよかったのかい?」
「・・・そうね。エリックに甘えちゃえばよかったかしら」
私はそう笑顔で言うと心配そうに王子は私を見て抱きしめた。
「僕は・・・そんなに頼りなかったかな?」
「そんなことないわ。私を庇おうとしてくれたじゃない」
「でも、できなかった」
「いいえ、王様にあそこまで言ってくれたこと、私は嬉しかったわ」
「僕は、無力だ」
私は王子の顔を両手で触った。
「卑屈にならないで・・・私が傍にいるから」
「僕の方が甘えちゃってるね」
「そうですね」
二人は笑い合い、口付けを交わした。
「今度は優しいのですね・・・」
「あ、あの時は!」
「止めてくれようと必死だったわね」
「からかわないでくれ」
「それよりいいの?私の中身は尊よ?」
「また男同士って言いたいんだね君は」
見つめ合った距離はまた近づいた。私は少し目をそらすとそっと王子を止めた。
「でも、不安なのは消えないわ・・・」
王子は微笑みながら私の髪を撫でた。
「体は女・・・数年間過ごして中身もより女性らしくなったと思う・・・だけど、耐えられるか心配なの」
「それでも、僕は君が好きだ」
「愛されているのはとても分かるわ・・・でも、あなたに答えられるかしら」
「尊君はどうしたいんだい?ニーナとして生きたいのかい?それとも・・・」
「私はこの人生を第2の人生として生きると決めています。それもニーナさんとして」
「じゃあ君はニーナだ。悩む必要はないと思うよ」
王子はその場に立って窓の方へと歩き出した。
「僕は君とこの国に居たい。ただそれだけでよかったんだ。だから、無理だと思ったらすぐ僕に教えてほしいんだ」
「分かったわ・・・すぐにエリックに相談するようにするわ」
「約束だよ」
「ええ、約束・・・」
「君はすぐこの約束を破りそうだけどね」
王子はそういって笑い出した。それを見て私は顔を赤くして軽く怒り、怒った後に呟いた。
「でも、きっと私を守ってくれるのは私の家族とあなただけかもしれないわね」
「え?」
王子は聞きなおすと私は「なんでもない」と言って笑顔を見せた。
私は第2の人生を歩んでいるの・・・この人生も楽なものじゃないけど、尊の時より充実しているわ。
尊で居た時結婚なんて話すら出なかったのに・・・結婚よ?それも、国の偉い人と信じられない人生よ。
でも、これは他人の人生を奪っているとも言えるのよね、神様がやったことだとしても・・・
だから、猶更悩むの・・・このままで本当にいいのかどうかを。




