折れたおじさん
また別の日、勉強の合間を見て私は兵舎の方へ来ていた。
相変わらず研究している姿が目に付いていたが何人かは魔法を試すように撃っていた。
失敗する人も居たが上手く使いこなす人も現れ始めていた。しかし、ガタイのいいおじさんはあまり進展が無かった。
アンナは私の顔を一度見て私が笑顔を返すとまた魔法兵達の中に入り魔法を撃ち始めた。初めのうちは普通に火の玉を撃っていたがどんどんそれは大きさを増して撃つようになり周りはその様子を見て驚いていた。あのおじさんは少し考えると手を翳して魔法を撃つ訳でもなく突っ立っていた。
何をしているのかしら・・・集中?かしら
おじさんの様子をアンナも横目で見ていた。そんな中おじさんは詠唱を始めた。
手には火の玉が出ていた。しばらくそれは留まりおじさんは目を閉じて何かを念じるように呟いていた。
しかし、火の玉はどんどん小さくなり消えてしまった。
ある意味凄いわね、普通ならどこかへ飛んで行ってしまうもの
その後も何度もおじさんは試していたが全部消えてしまっていた。何度も繰り返していくうちにおじさんはどこか自信が無くなったような顔になっていった。私はその様子を見ておじさんの元へと歩いて行った。
「難しいですか?」
「ん?ああ、全然駄目だ。飛ばす事すらできなくなったみたいだ」
「え?飛ばない?詠唱が間違ってるんじゃないかしら」
「そんな事は・・・」
おじさんはまた詠唱を唱えた。さっきより力が抜けた状態で撃ったおかげかよく飛んで行った。
「ん?詠唱が間違えてた訳じゃないみたいだな」
「おじさん、頑張りすぎたのよ」
「ガハハ、少し休むか!」
がっかりした様子で歩いて行った。それをアンナは見て少し残念そうな顔をして私の所にやってきた。
「あのおじさんがっかりしてましたね」
「そうね・・・少し心配ね」
二人で話していると声が上がった。
「大きくできたわ!!」
あの活発な女の人が大声をあげて喜んでいた。火の玉の魔法を頭くらいの大きさにして撃ちだしているのが見えた。その様子を見ておじさんは少し無理した笑顔で見ていた。その姿にアンナは歩き出した。
「おじさん!がっかりしてる場合じゃないですよ!!」
「あ、ああ・・・そうだな」
「おじさんならできますって!!」
「ありがとよ・・・でもな、憧れ程度じゃ魔法は使えないのがよく分かった」
私はそっとアンナとおじさんの元へと行った。
「あなた、名前は?」
「俺は、マカオンだ」
「では、マカオン!休憩が終わり次第さっきの子の真似をしなさい!」
「無理だ・・・俺にはそんな芸当できねえ」
「これは、命令よ」
「だが、どうやって・・・」
「ヒントは上げたわ。後は、アンナかあの子に教わりなさい」
私は活発な女の子の方を見ながらそう言った。マカオンはそれを見て敬礼してから考えるように座っていた。
「アンナ、教えられる?」
「おまかせください!!」
アンナはそういって元気よく答えてマカオンの様子を見ていた。




