本の会議
物々しい雰囲気で部屋は包まれていた。
「ニーナよ、その本を持ってきておるな」
「はい、この本でございます」
私は持ってきていた。魔法の本を差し出した。
「して、この本は本物なのか?」
「断定はできません。が、私の知識と一致している部分もございます」
「ふむ・・・全部では無いのだな?」
「はい、あくまで一部でございます」
王はその本を読んでいった。そして読んでいる間、宰相が私に質問を投げかけてきた。
「この本の著者は誰か分かりましたか?」
「それが書かれておりません」
「では、誰がこれを売ったのかは!」
「これを持ってきた使用人には聞きましたが城下の者とだけ」
宰相は少し考えると話を進めていった。
「しかし、これが他国から流れてきたとなれば他国にも強い魔法使いが居る可能性が出てきます。もし、攻められでもしたら・・・」
「隣国以外なら心配はいらないかと思いますが」
「いや、山を崩してまで迫ってくる可能性もあるとみています」
「山を崩してなんて・・・」
「あなたを見ていたらそれも可能だと私は見ていますから」
「わ、私ですか?」
王は本を閉じた。
「そうだな、ニーナ・・・お前の魔法は強すぎる。あのアルゴスですら負けるのだ」
「でも、山を崩したことはありませんよ?」
「おそらく、できるだろうな」
本を王子に手渡した。そして王子は本を読み始めた。
「まだ憶測の話しかできんがこれを書いた人間がこの魔法を使いこの本の通りに魔法の力を強めてきたとしたらこの国もただでは済まないだろう」
宰相は横から口を出した。
「やはり、魔法兵を作るよりも軍備の強化を急ぐべきでは?」
王はそれを睨んだ。
「仮にできたとしても被害が増えるだけだろう」
宰相は怯み口を閉じた。王はまた私を見て話し始めた。
「それで、この本のどこまでがお前の知識と一緒なんだ」
「最初の方は大体一致しておりますが後になればなるほど知っている内容と乖離していっております」
「後になればなるほど・・・か」
「私の記憶では命のやり取りで強くなるなどありませんでした」
王は唸りながら考えだした。王子が本を閉じると本は宰相の元へと渡され、王子の表情は複雑そうな顔をしていた。
「この本は虚偽の可能性もあります。いっそ燃やしてしまうのはいかがでしょうか?」
私はそういうと王も王子も考えて口を開かなかった。宰相だけはなぜか嬉しそうに口を開いた。
「では、この本を使って魔法兵達を教育してみればいいではありませんか?」
私はその言葉に怒りを覚え表情を消して宰相を見た。宰相は私の顔を見て怯え始めた。
「わ、私のそのような顔を見せていいと思っているのですか!」
王子は私の手を取った。そして王子は軽く宰相を睨んだ。異様な空気になり、王はため息をついた
「この本は本物と断定できるまで厳重に保管する事とする。危険過ぎる故、今は軍備には使用を許可はせぬ」
宰相はがっかりして本を机に置いた。そして王子は私の手を握ったまま固まっていた。




