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虎の威を借りる・・・

私は王子と共に部屋の騒がしくなった所へ移動した。


そこにはワインのようなものがかけられたシェリーが居た。


「シェリー様!!」


私は急いで駆け寄るとしゃがみ込んでいたシェリーを抱き寄せた。


「何があったの?」


シェリーは笑顔で「何もありません」と震えながら言った。


「大丈夫よ・・・本当の事を言っても私が守るから」


とても小さな声で囁いた。その囁きと同時に私は怒りを抑えるのに必死になった。


「どなたかここで起きたことを話せる方はいらっしゃいますか・・・」


顔を伏せ歯を食いしばってなんとか表情を変えないように耐えていた。そこに女性が口を開いた。


「その子が転んで自分でワインを被りましたの」


口を開いた女性の周りの人も同じような事を話していた。


「・・・リック王子、申し訳ありませんがお力をお貸しいただいてもよろしいかしら」


「え、ああ!分かった」


私は周りにもう一度問いかけた。


「もう一度聞きます。殿下に噓の無いようにお話しください」


すると口を開いた女性以外の人間は顔を反らして逃げようとした。


「動かないでいただけますか?」


私は笑顔を作りその場にいた人達を見た。


「では、もう一度証言していただいてもよろしいかしら」


その場に居た人達は顔を見合わせ冷や汗をかいていた。


「やましいことが無ければ言えることだと思いますが・・・いかがですか?」


「もういいの!」


シェリーは私にしがみついてきた。私はそれを頭を撫でて落ち着かせた。


「シェリー様大丈夫ですよ。手を出した人は私がなんとかしますから」


そしてまた私は周りを見た。


「先ほど証言してくださった皆様方どうしましたか?殿下の前では何もおっしゃれないのですか?」


一番先に口を開いた女性が狼狽えながら話し出した。


「な、なによ!その子が勝手に転んだって言ったでしょ!」


「他の方々も同じですか?」


他の人も声を出そうとしたその時、私はもう一声上げた。


「殿下の前で嘘の無いようにお願いいたしますね」


その言葉にそれぞれが渋々と答え始めた。


「私は見たんだ。その女性がワインを掛けたのを」


それを口火にそれぞれが話し始めたので、ある程度聞き途中で私は止めた。


「分かりました。どちらかが嘘をついているということですね」


全員が冷や汗をかき狼狽えていた。そして近くで待機していた使用人に声をかけた。


「あなたは見ていましたか?」


「はい、一部始終をみておりました」


「殿下の前でそれを証言できますか?」


「はい、恐れながら私が見たものはワインを掛けられた所でございます」


私は最初に声を上げた女性を見て近づいて行った。


「あなたは私だけでなく殿下にも嘘をついた。それの意味をお判りでしょうか・・・」


「わ、私は・・・」


「殿下処遇をお伝えください」


「い、イヤ・・・」


王子は私の隣に立った。私は拳を握り歯を食いしばった。


「シェリー様は私の友人です。あなたは私の友人に手を出しました。それを私は許したいとは思いません」


シェリーは泣きながらまた私の手にしがみついた。


「もういいんです。私が悪いんです。だから彼女を見逃してください」


「シェリー様・・・本当にいいのですか?」


「はい、ここまでしていただいただけでも嬉しかったです」


「分かりました」


その女性は安堵したような様子を見せた。


「私は許します。ですが、殿下はどういたしますか?」


「そうだね、僕はこれを許してはいけないと思うんだ。後で話を聞くよ」


そういうと兵を呼び女性を連れて行った。

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