伝えるのが下手なお嬢様
婚約披露会の日が近づき焦りを覚えながらテリサとも相談していた。
「そうですか、その一言を考えていらっしゃるのですね」
「ええ、私はなんて言えばいいか思いつかなくて」
テリサは私の顔を見てほほ笑んだ。
「ニーナ様のお心のままに」
私はしばらくの間黙って考え込んだ。それをメイド3人が見守っていた。
「私はエリック王子を愛し共に歩んでいきたいと思っております。なんてありきたりかしら」
「そうですね、とてもありきたりで妥当な回答だと思います」
すごく真っすぐな意見ね・・・分かりやすくて助かるけど
「ニーナ様がご納得されるお答えをお伝えすればよいのですよ」
テリサはそう言いながら入口のドアに手をかけた。
「私からはここまでです。後の作法の練習は婚約披露会の場が終わったらに致しましょう」
テリサは最後のそう言い残して部屋を出て行った。
「アンナ・・・ここに来て」
私は急に不安になりアンナを呼んだ。そして抱きしめた。
「ニーナ様?」
「上手く出来るかしら・・・不安で仕方ないの」
珍しくアンナは何もは言わずに私の頭を撫でた。
「どうしたらいいの?」
その問いにもアンナは無言で抱きしめる力を少し強めた。
「どうして、答えてくれないの?」
それでもアンナは答えずにしばらく抱きしめたままだった。
「ニーナ様としての答えはすでに決まっているんじゃないですか?」
アンナがようやく答えた言葉だが私は訳が分からなかった。
「私としての答えは・・・決まっている?」
「私から見たらもう心は決まっているような気がします。最後に引っかかってるのは"尊さん"でも、もうニーナ様はニーナ様ですよ」
「私はニーナ・・・でも、言葉が思いつかないの」
アンナはそっと放し私の顔を見ると笑顔で答えた。
「ニーナ様は勉強が苦手でしたから、言葉もでないんですよ~」
私はその場で力が抜けてしまった。
「きっとニーナ様は気持ちを伝えるのが下手なんです!」
私は自分の頭を触りながら笑い出した。
そんな単純な理由あったなんて思いもよらなかったわ。みんな分かってたのかしら。悩んでた私が馬鹿らしいわ・・・
「ねえ、アンナ?」
「なんですか~?」
私はアンナにデコピンを食らわせた。
「痛いです~」
「私の事馬鹿にしたでしょ!」
「ち、違いますよ~」
「ありがとう、アンナ・・・もう一度考えてみるわね」
まさか、アンナに諭されるなんて思わなかったわ。私の・・・ニーナとしての気持ちは固まっている。拾ってもらった恩を返したい。尊の存在を知りながら私なんかで良いと言ってくださるエリック王子のためにも・・・これは政略結婚でも無い。私とエリック王子が・・・自分達で決めた婚約なのよ。
その後私は部屋に籠りずっと考えて過ごしていた。




