力技
ユミナはブランドの前に立ち睨んでいた。アンナはその様子を見て唖然としていた。
「なんだ貴様は!」
「失礼ですが、この方はエリック王子殿下のご客人です。無礼は許されません」
「フン、客人か何か知らんが規律を乱すような奴が兵舎に来るのが悪いのだろう」
ユミナはもう一歩前に出た。
「この方はエリック王子殿下の婚約者になられるお方です。そういった態度はお控えください」
「お、婚約者だと?」
ブランドは私の方を見て驚いた。
「しかし、なぜ婚約者になるお方がこんなところに・・・」
私は毅然としてブランドを見た。
「王様から直々に任されましたので私が指示を出しました」
「王が自ら・・・」
少し考えていたブランドが笑い出した。
「こんな小娘に兵達を任されるわけがなかろう!」
「あまりにも無礼ではありませんか?兵長殿・・・」
ユミナの睨みが鋭くなった。それと同時にアンナも後ろから睨んでいた。
「こんな小娘に何ができるというのだ!」
私は笑顔を作り挑発した。
「では、あなた・・・私と勝負いたしますか?」
「ほう?怪我ではすまんぞ?」
「あら、怖いのかしら」
「よくある煽り文句だな。そんなもので乗るとでも?」
「どうせ私が出た親善試合の場に呼ばれなかった雑兵ですものね。あの場には王様もいらっしゃったのに」
「ほう?」
ブランドはあからさまに態度が変わった。
「こんなところでしか、いきり立てない兵長殿ですから仕方がありませんね」
「あまり調子に乗るなよ小娘の分際で」
ユミナは軽くお辞儀をすると下がっていった。アンナは・・・なぜかやる気満々だった。
「規律しか守ってこれなかった兵長さんは騎士様よりお強いのかしら~」
「規律の大事さを知らんのか貴様はーーー!!!」
ブランドは大声を上げると兵に剣を持ってこさせた。
「ならば、受けて立つぞ!小娘!」
「ええ、では私はこれで勝負いたしますわ」
指先に豆のような火の玉を作り出した。その色は少し黒っぽかった。
「威勢はよかったがその程度か?」
「あなたにはこの魔法・・・切れまして?」
そっと私は火の玉を飛ばした。それはとてもゆっくりとブランドに近づいて行った。
「なめられたもんだ。やはり小娘のお遊びではないか」
ブランドは剣を振り下ろした。そして剣先を見てブランドは冷や汗をかき怯え始めた。
「な・・・なんだというのだこれは」
私は慌てて声をかけた。
「ブランド様避けてください!!」
その声にブランドは気づき間一髪で避けたが胸の装甲が少し溶けていた。
周りの全員がその様子に息をのんだ。それはその場に居た魔法兵以外の兵もだった。
ブランドの剣は溶けて、胸の装甲も一部溶けた・・・そしてブランドは腰を抜かしていた。
「ブランド様、お怪我はありませんか?」
私は笑顔でそういうとブランドは唖然としたまま固まっていた。
「ユミナ・・・どうしましょ?」
「少しすれば落ち着くかと思いますのでそのままにいたしましょう」
私は言われた通りそのままにして魔法兵達の方へと歩いて行った。




