しっかり者
私は笑顔を見せた後、席から立った。
「貴重なお時間を頂きましてありがとうございます」
「もういいのかい?」
「これから婚約の発表が行われるまでに気持ちを整理して覚悟を決めたいと思っております」
王子は微笑みながら応援するかのように言葉を掛けてくれた。
「もう覚悟を決めてから来てくれた訳じゃないんだね。でも、僕は待ってるよ。君がいいと思うその日まで」
「でも、発表の日はで伸ばせないでしょ?」
「そうだね」
二人はクスクスと笑い私は部屋を出た。
「ユミナごめんね。待たせちゃったわね」
「お気になさらず」
「エリック王子の従者の方も待たせてしまって申し訳ありません」
「そんな頭を下げないでください。これも私の役目ですので」
王子の従者はそう言うと困ったような笑顔で王子の部屋へと戻って行った。そして私とユミナも部屋へと戻った。
「ずっと待ってて疲れなかった?」
「いえ、問題ございません」
「アンナは一人で大丈夫かしら」
「私達侍女は信用していただけませんか?」
そういう風に取られてしまうのね・・・私はアンナに対して甘やかしすぎたかしら
「いえ、今までずっと一緒だったので少し落ち着かなかっただけです」
「・・・そうですか」
どこか意味深な間の返事をユミナはした後、私は部屋に戻るとアンナは部屋の掃除をしていた様子だった。
「アンナ、ただいま」
「ニーナ様~~!」
アンナは泣きそうな顔をして飛んできた。私はアンナを落ち着かせているとユミナは複雑そうな顔をしていた。
「一応これから私はどのように過ごせばいいかしら」
「はい、お客様として過ごして頂ければと一部を除いてどこへ行ってもらっても大丈夫でございます」
「お客なのにどこへでも行っていいの?」
「王子様のお客様ですので、ただ、あまり下手な所へ行きますと王子様に迷惑が掛かるということだけは留意していただけたらと」
「わかりました。気を付けます」
そんな会話をした後、ユミナは部屋で姿勢よくして立っていた。それをアンナと私は見て戸惑って小声で話した。
「ね、ねえ・・・本当に私はどうしたらいいのかしら」
「私に聞かないでくださいよ~」
「でも、あまりにもしっかりした人過ぎて・・・これが普通なのかしら」
「じゃあ私が普通じゃないみたいじゃないですか~」
「あなたは十分に普通じゃないわよ・・・」
その言葉を言うとアンナは声の大きさを戻した。
「そんな風に思ってたんですか~酷いです~」
「あ、アンナ!落ち着きなさい」
「え~ん、ニーナ様が虐めるんです~」
「恥ずかしいからやめなさい」
そんなやり取りをしても微動だにせずユミナは立っていた。私はその姿をみて「ゆっくりしてもらってもいいのですよ?」と言った。ユミナは軽く会釈すると特に何をすることもなくただ私の様子をみていた。
「や、休んでもらっても大丈夫ですよ?」
「私はニーナ様の侍女ですのですぐ対処できるように待機しておりますのでお気になさらず」
こ、これが普通なのかしら、私違う意味で不安になってきたわ。
私は不安を覚えながらアンナと二人で唖然としていた。




