真っすぐな相手
王子は私のジト目を見て微笑んだ後、逆に質問をしてきた。
「僕からもいいかな?君が僕の言葉を受けてくれた理由を聞きたい」
「・・・なんとなくです」
拍子抜けしたかのような顔をした後王子は笑い出した。
「本当に君は面白いね」
「私もあの時はすごく考えてました。でも、最後はなんとなくなんです」
「なんとなくで決まった婚約か」
王子は笑いが止まらない様子だった。
「そんなに笑わないでくださいまし」
私はそっぽを向くと王子は軽く謝りながら笑いを止めた。
「私には他の道は無かったんだと思います。エリック王子も見ましたよね。私が社交の場に出ればどうなるかを・・・」
「ああ、あそこまで酷いとは思わなかったけどね」
「だから、私を選んでくれる人は居ないと思っています。それに尊という存在を受け入れてくれる人も居ないと思いますから・・・」
「きっとどこかに居たかもしれないよ?」
「こんな扱いを受ける女を受け入れる物好きは居ないですよ」
私は軽く微笑んだ。それを見て王子は心配そうな顔になっていた。
「私を知ったうえで受け入れてくれる人はどこを探してもきっとエリック王子だけだと思っています」
「じゃあ、選んで正解だったね」
「ありがとうございます」
「僕の方こそ受けてくれてありがとう」
二人はそう言って少しの間笑っていた。
「でも、私以外に色んな姿を見せる人は居たんじゃないですか?」
「僕の前ではみんな綺麗に着飾るのさ。とても綺麗な仮面を着けて」
「私は綺麗じゃなかったみたいね」
「君は着飾らないのに可愛かったからね」
「か・・・可愛い」
私はなぜか複雑な気分になった。
「僕はできれば戦力になんかになって欲しくなかったんだ」
「え?」
「君を妻として迎えるだけ・・・それだけでよかったんだ」
「王様に聞こえたら大変ですよ!」
「いいんだ、僕は二人で花を見て歩いたり、笑いながら外を歩いたり、幸せになれればそれでよかった」
「もし・・・戦力として見られていなかったら多分私はここにはいませんよ」
「それでも僕は君を見つけてたと思う」
「それは気のせいです。私が魔法を使っていなければ今頃は・・・売られてましたから」
「それなら僕がきっと買ってた」
「そんな価値はありませんよ?」
「他の人になくても僕にはあるさ」
私は少し照れながら手を顔の前で組み「ズルイです」と小声で言った。
そんな王子の真っすぐな目を見たらこれ以上何も言えなくなりそう・・・いつの間にか私、本当の乙女になっちゃってたのかもね。
「僕の勝ちかな」
王子は微笑んでそう言った。
「こんな幸せな気分になったのは尊の時を含めても初めてです」
「尊さんの時はそんなこと無かったんだね」
「ええ、誰かに好かれることは無かったと思います。好きになる事はあったとしても遠くで見て終わってました」
「伝えに行こうとは思わなかったのかい?」
「相手に迷惑ですから」
王子は複雑そうな顔をし、私は寂しそうな笑顔をしていた。




