12意外な剣豪
2週間ぶりの投稿になりましたが待っててくれた方ありがとうございます!
よろしくお願いいたします!!
私はレオの手を振り払い、体制を崩したルイスの元へと駆け寄ろうとした……その時。がきんっと空に響く豪快な金属音に耳を疑った。
(あ、れ……?)
さっきまで私が見ていた光景とは似ても似つかない状況になっていた。ルイスは顔に砂をかけられて倒れてあの狂暴ゴリラ団長に負けそうに、というか殺されそうになっていたのに今や地面に尻餅ついたゴリラ団長に剣を向けるルイスが見える。形勢逆転とはこのことだ、と教えてもらっているような感じ……?
「……はい、おしまい。僕の勝ち、いいね?」
青い瞳の青年は剣を団長の首元に当て、意地悪く微笑む。地面の団長はその刃を横目で確認すると剣を地面に置き、恐る恐る両手を挙げた。降参、という意味なのだろう、団長の彼はしゅんと大きな体を丸めた。そして彼を支配していた燃えるような赤い瞳は消えさり彼はバタリとそこに横たわった。
ルイスが万が一のために彼の剣をとってから彼を仰向けに寝かせてやった。相変わらず優しいなぁ、なんて見ているとその勝者というとじわじわと黒いオーラが見えるかのような瞳でこちらに微笑みかける。
(おおお、怒ってる……あれ絶対怒ってる……!!)
「あーあ、クレアちゃんが約束破ったからルイス怒ってるよー?まったく心配性なのは分かるけどもう少し信用してやんなきゃねぇ?」
いつの間にか隣にきたレオにそう諭されるとなんとも悪い気持ちになる。ルイスの剣の技術なんて今まで見たことがなかったし、一見初心者としては劣勢に見えたから心配になったのだ。……でも彼を信じ切れなかったのは悪いとは思うから謝る。
「ご、ごめんなさい……」
私の様子を見て1つため息をはいたルイスはこちらに歩いてきた。そしてぽん、と頭に手をおいた。
「……クレアが無事で良かった。心配させてごめん」
予想外の優しい言葉に胸がとくんと高鳴る。ばっと顔を上げて彼の顔を見ると、申し訳なさそうな顔をしていた。こちらもまた予想外な表情をしていてびっくりだ。まさか怒られるのではなく謝られるなんて……。
「いいえ、守ってくれてありがとうございます」
その言葉にふっと微笑んだ彼にこちらもほっとする。あの状況からどう逆転したのか私の目にはよく分からなかったけれど確かに剣技があの騎士より何段も上なのは分かった。それより私の安否を優先してくれるのは彼らしくて嬉しくなった。
(っ!この5年の間にどれだけ練習させられたんだか……)
ふと目線を下ろすとルイスの手にはまだ出来立ての傷痕が残っている。細く長い美しい手指とは不釣り合いな傷にその大変さが証拠として刻まれているようだった。"真王"という一番の勲章を得た変わりにこんな重く大変な使命を課せられるなんて世の中は不平等だと思わざるを得ない。
「……ル~イス!お前もっと強くないとクレアちゃんが安心できないでしょ?もっと俺ぐらい強くてかっこよくないとね!」
がしっとルイスの肩を組んだレオはそう軽口を叩く。彼はこの少し複雑な気持ちが混ざりあった空気を敏感に察知したのか持ち前の明るさでどうにか笑わせてくれる。ルイスもそのレオの気遣いに気がついたのかふっと笑う。
「…………レオみたいにはなりたくない」
「ふふ、それは確かに止めた方がいいかもしれませんね」
なんでよー、とむくれるレオにふふふと笑っていると、どこからか突然ぞわっとした恐怖に襲われる。
「!どうしたのクレア……?」
「……あの、何か嫌な予感がします!」
そう伝えた途端、ざっと複数の影が現れた。レアリウス騎士団の制服をきた騎士たち……であるのは間違いではないが彼らの瞳は赤く光っている。……これも間違いなく紋章の呪いのせいだろう。
「ルイス・ヴェルダーを殺す……!そして王族から権利を我らに……!!」
ざっと15人くらいはいるだろうか、沢山の騎士たちに全身が粟立つ。まさか団長だけではないなんて聞いていない。隣のレオもおっと……と予想外だという反応だ。ルイスは既に彼らに向かって剣を抜いて構えている。
「ど、どうしましょうか……」
あわあわと慌てることしかできない私は思わずそこに落ちている小枝を構える。守られるだけのお姫様ではないのだから私にも何かできるはず、と思っても行動だったがレオはぶっと盛大に吹いて笑った。こちらは必死の行動だったのにひどい、と羞恥心に顔が熱くなる。
「~!!レオさん!?」
「あー、ごめんごめん。やっぱり可愛いね、クレアちゃんは。……2人とも、ここは俺に任せてよ」
そう言うと彼は綺麗の紫の瞳を赤い光を放つ騎士たちの方へと歩み寄っていく。
「あっ!レオさん!!」
笑ったのには怒ったけれど、まさか彼らの餌食になれとまでは怒ってない。流石にあの数相手に進んでいくのは犠牲になりにいくのと同じだろうと引き留めようと叫んだ。すると隣でいつの間にか構えていた剣を収めたルイスが私の手をつかみ首を横にふる。
「……??」
「……本当は言いたくないけどレオは心配しなくて大丈夫だよ」
そう言い渋るルイスに耳を傾けているうちにレオは騎士とは僅か数メートルの距離まで行ってしまう。そして発狂と似た声をあげた騎士たちがレオに襲いかかった。
「レオさん!!」
……と必死の声をあげたの後数秒。
「…………はい、おしまい!クレアちゃーん、ルイスー、もう大丈夫だよー!!」
なんてにっこり笑った顔でこちらを見てくるレオに愕然とする山積み状態になった騎士たちの屍……まぁまだ生きてるけどを見ると何が起きたのかさっぱりだ。二度目の訳わからない状況に驚きを隠せない。ぎぎぃと隣で苦笑いしているルイスの方を向くとあぁ、と嫌そうに口を開いた。
「……実はレオは先代のレアリウス王国騎士団の団長だったんだ」
「…………へ?」
私はぎぎぃと音の鳴りそうな動作で今度はレオを見る。その余裕そうににこにこ笑う顔を見ると、彼はいぇい、と顔付近でピースマークを作った。
「…………っええー!??」




