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荒肝の武士
序
切株に青く、丸みを帯びた可愛らしい鳥がとまり、さえずっている。
刑部は襖を開けて目を細めた。
「ルリビタキか。珍しいな。」
「山より下りてきましたか。」
灰音が答える。屯所内、作議の間で二人は静かに庭を臨む。
「どうだ。修復工事は。」
「当初、二月との事でしたが未だ開通には至っておりませぬ。」
灰音と美浪が内偵していた神尾鉱山で落盤事故があり、
それ以上の調査が不可能になり撤収となった。
悪兵衛達の力太郎との対決の二日前の出来事である。
廊下を歩む足音が聞こえ、刑部は腰を下ろす。二名とも頭を下げた。
「ご苦労。」
不知火隊長、伊庭辰之進が現れる。
陣羽織に長着姿で幕僚会議後、直接赴いた出で立ちである。
きびきびとした動作で卓につき、腕組みをした。
「遅れまして。」
風祭も現れ、入室しつつ襖を閉める。
「よし。」
「開津藩領内、早騨宿が狗族の襲撃に合い、全滅。」
「玄嶽出動と相成った。不知火より戦闘班小隊出撃。玄嶽と連携し
狗族の殲滅及び、宿場町の奪還の命が下った。」
伊庭の言葉に三名は色を失う。
早騨宿は音に聞こえた宿場町であり、交通の要でもある。
「作戦行動の起草、及び隊士の選抜を行う。」




