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不知火戦奇  作者: tsuru hiroki
90/210

荒肝の武士

序



切株に青く、丸みを帯びた可愛らしい鳥がとまり、さえずっている。

刑部は襖を開けて目を細めた。

「ルリビタキか。珍しいな。」

「山より下りてきましたか。」

灰音が答える。屯所内、作議の間で二人は静かに庭を臨む。

「どうだ。修復工事は。」

「当初、二月《ふたつき》との事でしたが未だ開通には至っておりませぬ。」

灰音と美浪が内偵していた神尾鉱山で落盤事故があり、

それ以上の調査が不可能になり撤収となった。

悪兵衛達の力太郎との対決の二日前の出来事である。

廊下を歩む足音が聞こえ、刑部は腰を下ろす。二名とも頭を下げた。


「ご苦労。」

不知火隊長、伊庭辰之進が現れる。

陣羽織に長着姿で幕僚会議後、直接赴いた出で立ちである。

きびきびとした動作で卓につき、腕組みをした。

「遅れまして。」

風祭も現れ、入室しつつ襖を閉める。

「よし。」


「開津《かいづ》藩領内、早騨《そうだ》宿が狗族の襲撃に合い、全滅。」

「玄嶽《げんがく》出動と相成った。不知火より戦闘班小隊出撃。玄嶽と連携し

狗族の殲滅及び、宿場町の奪還の命が下った。」

伊庭の言葉に三名は色を失う。

早騨宿は音に聞こえた宿場町であり、交通の要でもある。

「作戦行動の起草、及び隊士の選抜を行う。」

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