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水郷の贄
序
葉桜と楓の若葉が薫風に揺れている。
不知火屯所、作議の間から玉杉桔梗の声が漏れる。
「視察任務二名の他、参謀方と弓手?」
桔梗の形のよい眉が吊りあがる。
「あくまで、調査にあたる者の希望があったらという話だ。」
刑部が困り顔で諭すように話す。灰音と顔を見合わせる。
「では結構です。既定の人数で十分な任務と思われます。」
「桔梗。お主の内偵が決まった上でのお上の判断なのだ」
桔梗は唇を噛み、うつむいた。が、すぐに顔をあげ意思の強い瞳で
刑部を見つめる。
「大規模戦闘に入る想定をされておられますか?」
「それはない。あくまで視察だ。」
「特別扱いは結構です。悪兵衛と二人でやり遂げます。」
刑部、灰音ともに押し黙る。
「報告は密にせよ。」




