お知らせ
五月二十九日。
選考テストの結果が発表された日の前日。
アカデミア生達にこんなメールが一斉送信されていた。
『おはよう。こんにちは。こんばんは。おやすみなさい。理事長です。
このメールは、明日発表されるアカデミア生の第一陣潜入部隊に選ばれなかったアカデミア生全てに送らせてもらっています。不合格通知みたいなものです。
でもガッカリするのは早い。
ガッカリした君こそ最後まで読むとハッピーになれます。
遂に明日、戦地へと赴くアカデミア生の第一陣潜入部隊が発表されます。
現場を何も知らないザンネンな輩にとっては不都合でも、我々アカデミアの関係者からすれば歓迎すべき日であり、記念すべき日です。
しかし、素直に喜べないアカデミア生がいる。
当然です。
自らの意思でアルマ・アカデミアに入学することを決めた君達は、皆が皆パラディースに大切なものを奪われている。それ故に強い敵意と、闘志を胸に抱いている。
納得、できませんよね?
実戦と訓練は天と地ほど勝手が違う。
例え選考テストの成績が悪かったとしても、確固たる結果を残せるという自信を持ったアカデミア生は多いはず。
そんな君達のために、一つ情報を開示しようと思います。
それは第二陣の潜入部隊について。
第二陣の潜入部隊は今回と同じように選考テストで決まりますが、各国の成績上位者がそれぞれメンバーを選ぶのではなく、成績上位者五名がそのまま選ばれることになります。つまり混合チームですね。
何故たった五名なのか。
それは第一陣の潜入部隊が、選考テスト無しで第二陣の潜入部隊として選ばれることになっているからです。
もう一度聞きます。
納得、できませんよね?
勿論これは第一陣の潜入部隊が全員生きて戻ってきた場合に限られますが、第一陣の各国リーダーはともかくとして、リーダーに選ばれただけで成績があまり芳しくない他のメンバーまで当確というのはこちらとしてもどうかと思うのです。
そこで君達に朗報。
一週間という期間を設け、第一陣潜入部隊の「入れ替え戦」を行います。
メンバーの誰でも構いません。勝負を挑み、見事勝利を収めることができたアカデミア生は、第二陣の潜入部隊と認めることとします。
一度入れ替わった枠は確定となるので、早い者勝ちです。
枠を奪われた潜入部隊、もとい新たな潜入部隊のメンバーは、以後入れ替え戦には参加できませんのであしからず。
もしも何かしらの形で参加していることが分かれば権利を失うことになりますので気を付けて下さい。
出身国は関係ありません。
どのチームに割って入っても良いし、徒党を組んでメンバー総入れ替えを狙っても良い。
勝負方法は問わず、君達が自由に決めることができます。
尚、勝負方法に戦闘を選んだ場合、当然ですが殺人は禁止です。
この「入れ替え戦」については開始日に彼等にも伝えますが、彼等に勝負を拒否する権利はありません。
では挑戦権の説明を。
挑戦権は腕章という形にし、第一陣の潜入部隊がパラディースに潜入した翌日に機会を設けて配布します。
しかしながら、潜入部隊枠はたったの二十。
皆が皆好き勝手に挑戦状を叩きつけていたら行列ができてしまう。
そのため、挑戦者は厳選します。
計十枚の腕章を集めたアカデミア生にのみ真の挑戦権を与えるようにします。
腕章の集め方は、強奪でなければどんな方法を取っても構いません。
何かと引き換えにトレードしても良し、純粋な成績に自信のある生徒や、興味のない生徒から譲り受けても良し、頼りになる仲間に全てを託しても良し、互いに腕章を賭けて戦っても良し、頭を使って盗んでも良し。
ただし真の挑戦権を得た者でもチャンスは一度きりです。
二度目の勝負を挑もうとしたアカデミア生は退学処分とさせてもらうのでご注意を。
この腕章を集める期間を「入れ替え戦前哨戦」とし、こちらの期間は腕章の配布日から「入れ替え戦」開始日までとなります。
肝心の「入れ替え戦」開始日については、第一陣の潜入部隊の体調を考慮し、彼等が帰還してから一月後とします。
もう一度言いますが、これらは第一陣の潜入部隊が全員生きて戻ってきた場合の仮の話。
早い内に腕章を集めても全て無駄になってしまう可能性があることを覚えておいて下さい。
え? そもそも私が理事長である証拠がないって?
良いでしょう。
それでは明日の選抜メンバー発表時、私は大袈裟に咳払いします。
その咳払いが、「入れ替え戦前哨戦」の真のお知らせということにしましょう』
プロローグなのに完結とはこれ如何に。
続きを書き終えたら連載中に戻すつもりです。
次の投稿は一月後くらいになると思います。




