第二話 パンツもブラもなしで、異世界に転送? 転移?
質問。
服は着ているとはいえ、パンツもブラもなしで、異世界に転送? 転移? されて、しかも百人を超す大勢の人間に囲まれている三十路手前女の心情を答えよ。
わたしの回答。
頼むから、逃げさせて……。
そうじゃなければ、パンツ履くところから、人生やり直させて……。
逃げたい……んだけど、わたしの周りを大勢で取り囲まれているのよ!
逃げ場、なし。
ファンタジックに、人間の頭上をジャンプして逃げるとかして……スカートの中身が見えたらどうするの⁉
嫌だ。
それだけは嫌だ。
逃げ場はない。
しかも、金髪で青い瞳で、白い服の、いかにも王子様チックなイケメンが、わたしのほうに喜色満面で向かってくる!
「あなたが聖女だな?」
疑問形を取っているけど、口調は確信に満ちている。
待て、待って!
やっぱりこの展開は、ラノベでよくある聖女召喚⁉
パンツもブラもなしで、聖女召喚⁉
聖女じゃなくて、性女……なんていう、バリバリベタベタなことを連想しましたけど。
聖女も性女も、どっちも嫌あああああああああああああっ!
「人違いですっ!」
「は?」
「召喚ミスですっ! 失敗です!」
「は?」
万が一にでも、スカートが捲れて中身が見えないように、わたしはしっかりとスカートを押さえながら王子様っぽい人に言う。
「聖女召喚ときたら、あなたは王子様なのでしょう?」
「ああ、ホルクロフト神聖王国が王太子、ターロックと言う」
「自己紹介ありがとうございます。端的に申し上げますけど、何かがあって、あなたたちはそれを解決するために聖女召喚を行った。詳細はともかく、ここまでは良いですね?」
「ああ」
「で、せっかく聖女を召喚するんだから、できれば美少女で、自分と恋に落ちるようなそういう関係になりたいなあなんて下心もあったりしますよね⁉」
ラノベのお約束だろう。
聖女は美少女。
そして、召喚した王子様と恋に落ちる。
聖人男性ではなく、聖女を召喚する王子様っていったら99.999999……%はそういうお花畑だろう!
偏見!
でも、世の中にはそんなお話が溢れているのだっ!
「そ、そそそそそんなことは……無い……。そもそも聖女とは……」
ターロックとかいう名の王子様は、モゴモゴと何かを言っているようだけど、私には聞こえない。
だけどねえ……、頬がうっすら赤いのよねぇ。
イケメンのテレ顔乙! なんて、言いませんよ!
だって、どう見ても、この子……じゃない、この王太子、十代だろ⁉ お肌ぴちぴちだもん! うやらまし過ぎる!
「ちなみに王子様。あなた、年齢はおいくつですか?」
「あ? 十五歳だが……」
「わたしは二十九歳です」
「あ?」
「二十九歳! 王子様のほぼ倍! 倍の年齢です‼」
言ってやったぜっ!
案の定、王子様の口がカックンと開いた。
けっ!
世の中の物語同様、この王子も、やっぱり美少女聖女を召喚して、あわよくば、恋に落ちたいとか思っていやがったな!
けっ! ぺっぺっぺ!




