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コウの物語  作者: パルス


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第9話「回し方」



 朝、目を覚ます。


 まず火の様子を確認する。


 問題ない。


 そのまま、吊るしていた肉へ視線を向けた。


 干し肉を手に取る。


「……できてるな」


 しっかり乾いている。


 問題ない。


 干し肉35個。


 これで一度回る。


 量としても十分だった。



 外へ出る。


 空気は少し冷えている。


 朝露の残る地面を踏みながら、コウは森へ向かった。


 まずは罠を見る。


 1つ目。


 何もない。


 2つ目。


 こちらも空。


 少し立ち止まる。


「……ゼロか」


 おとといもゼロだった。


 昨日は2匹。


 そして今日はまた空振り。


「……調整したんだけどな」


 魚骨や繊維を使って、少し仕掛けを変えた。


 だが、自然相手では偏る日もある。


 分かっている。


 それでも、少し悔しい。


「まあ、こういう日もあるか」


 無理に引きずらない。


 切り替える。



 次に山椒を取りに向かう。


 木へ近づく。


 実はまだ残っていた。


 手早く摘み取っていく。


 山椒40粒。


「悪くないな」


 袋へ入れる。



 そのまま薬草も回収する。


 今日は状態がいい。


 使えそうなものを選びながら採っていく。


 薬草10束。


「これで十分だな」



 さらに山菜も採る。


 鍋ができたことで、ようやく使えるようになった。


 アクの強いものは避ける。


 分かる範囲で安全そうなものだけ選ぶ。


「……これなら食えるか」


 食べるのは今日の分だけ。


 持ち越しはしない。



 ついでに葉も集める。


 干し肉を包む用だ。


 使いやすい大きさの葉を選びながらまとめていく。


「これくらいあれば足りるな」


 だいたい40個分程度。


 毎回補充しておけば困らない。



 次は川へ向かう。


 網を取り出す。


 水へ沈める。


 少し待って引き上げる。


「……多いな」


 魚がかかっていた。


 何度か繰り返す。


 最終的に魚5匹。


「悪くない」


 今日は川の方が当たりだった。



 拠点へ戻る。


 荷物を下ろす。


「今日は当たりだな」


 罠は空だった。


 だが、全体で見れば十分回っている。


 問題はない。



 コウは石を集め始める。


 今あるかまどだけでは少し足りないと感じていた。


 鍋用。


 焼き用。


 分けた方が回しやすい。


 手頃な石を拾い、拠点まで運ぶ。


 また戻る。


 もう一度運ぶ。


「……面倒だな、これ」


 量はそこまで多くない。


 だが、地味に疲れる。


 両手が塞がるせいで動きづらい。


 途中で落としそうにもなる。


「こういうの、まとめて運べたら楽なんだけどな……」


 ふと考える。


 荷物を乗せて引く。


 そんな道具があれば、一気に運べる。


「……一輪車みたいなのとか」


 いや、もっと荷物を積める形でもいい。


 干し肉も増えてきている。


 薬草もある。


 村へ持っていく量も、少しずつ増えていた。


「背負うだけだと限界あるよな」


 土を削って形を整える。


 木の棒と石では効率が悪い。


「……村行けば、もうちょっとまともな道具あるかな」


 ショベルのような物でもあればかなり違う。


 少なくとも、今よりは楽になるはずだった。


 コウは石を並べる。


 土で固定する。


 高さを調整する。


「……こんなもんか」


 大きくはない。


 だが、火を分けられるだけでもかなり違う。


 これで鍋と焼きを同時に回せる。


 少しだけ、拠点らしくなってきていた。



 少し考える。


 今日は肉がない。


「魚を使うか」


 問題ない。


 保存用を残せばいい。



 大鍋を用意する。


 火を起こす。


 まず山菜を入れる。


 しばらく煮る。


 強いアクが浮いてくる。


 湯を捨てる。


「……これをしないと危ないんだよな」


 まだ分からない山菜も多い。


 だから慎重にやる。


 もう一度水を入れる。


 今度は魚の皮や骨を入れる。


 少し煮る。


 魚の匂いが広がっていく。


「……だしは出るな」


 そこへ魚の身を入れる。


 残っていた野菜も加える。


 軽く煮る。


 最後に山椒を2粒潰して入れた。


 一口食べる。


「……悪くない」


 魚の味は出ている。


 山椒も効いている。


 だが――


「やっぱり塩欲しいな……」


 味が締まらない。


 それでも食えないわけではない。


 今はこれで十分だった。



 魚は全部使わない。


 3匹は焼いて残しておく。


 火の近くへ並べる。


「焼きなら明日まではいけるか」


 干し肉ほどは保たない。


 だが、何も無いよりはいい。



 火を見ながら考える。


「……やること多いな」


 頭の中で並べる。


 行商。


 拠点の整備。


 作業場。


 保存方法。


 道具。


 必要なものは増えていく。


「全部は無理だな」


 少し考えて整理する。



 行商の日でも、朝の確認は必要だった。


 罠。


 火。


 乾燥。


 最低限の管理だけは外せない。


 逆に、拠点の日は整備へ集中する。


 食料確保も無理に詰め込まない。


 全部を一気にやろうとすると崩れる。


「……回し方だな」


 少しずつ形になり始めていた。



 魚は網でも取れる。


 だが、毎回張り付く必要がある。


「……罠でいいな」


 回収だけで済む形が理想だった。


 無理がない。


 続けられる。


 それが一番重要だった。



 少し考える。


「野菜も減ってきたな」


 魚はある。


 干し肉もある。


 食う分は問題ない。


 だが――


「塩がない」


 結局そこへ戻る。


 判断する。


「明日は村だ」


 目的は決まっている。


「塩」


 それだけで変わる。


「……誰がどう言っても、塩だな」


 小さく呟く。


 優先順位は決まった。



 体を横にする。


 火の音を聞きながら、ゆっくり目を閉じる。


「……回るな」


 静かに意識が沈んでいった。



収支表(第9話終了時点)


■開始


干し肉4個

薬草10束

山椒15粒

野菜2束


仕掛り品

干し肉35個(乾燥中)


ルク0



■完成


干し肉35個完成



■採取


山椒40粒採取

薬草10束採取

魚5匹捕獲

山菜少量採取

干し肉包み葉補充



■作成


石組み簡易かまど1基追加



■消費


魚2匹調理

山椒2粒使用

野菜1束使用



■保存


焼き魚3匹保存

(翌日程度まで)



■終了


■在庫


干し肉39個

薬草15束

山椒53粒

野菜1束

焼き魚3匹



■仕掛り品


なし



ルク0



資産表(第9話終了時点)


■携帯資産


■武器


木槍1本

石ナイフ2本

鉄ナイフ1本



■作業用品


石斧1本

大鍋1個

網1枚



■衣類・装備


革靴1足

カバン1個



■食料


干し肉39個

焼き魚3匹

野菜1束



■素材


薬草15束

山椒53粒

魚骨少量

植物繊維少量



■運搬用品


簡易袋2枚



■通貨


0ルク



■固定資産


簡易拠点1か所

石組み簡易かまど2基

干し肉ラック1基

薬草乾燥場所1か所

簡易罠複数

簡易魚囲い1か所

動物避け用焚火複数


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