第9話「回し方」
朝、目を覚ます。
まず火の様子を確認する。
問題ない。
そのまま、吊るしていた肉へ視線を向けた。
干し肉を手に取る。
「……できてるな」
しっかり乾いている。
問題ない。
干し肉35個。
これで一度回る。
量としても十分だった。
◇
外へ出る。
空気は少し冷えている。
朝露の残る地面を踏みながら、コウは森へ向かった。
まずは罠を見る。
1つ目。
何もない。
2つ目。
こちらも空。
少し立ち止まる。
「……ゼロか」
おとといもゼロだった。
昨日は2匹。
そして今日はまた空振り。
「……調整したんだけどな」
魚骨や繊維を使って、少し仕掛けを変えた。
だが、自然相手では偏る日もある。
分かっている。
それでも、少し悔しい。
「まあ、こういう日もあるか」
無理に引きずらない。
切り替える。
◇
次に山椒を取りに向かう。
木へ近づく。
実はまだ残っていた。
手早く摘み取っていく。
山椒40粒。
「悪くないな」
袋へ入れる。
◇
そのまま薬草も回収する。
今日は状態がいい。
使えそうなものを選びながら採っていく。
薬草10束。
「これで十分だな」
◇
さらに山菜も採る。
鍋ができたことで、ようやく使えるようになった。
アクの強いものは避ける。
分かる範囲で安全そうなものだけ選ぶ。
「……これなら食えるか」
食べるのは今日の分だけ。
持ち越しはしない。
◇
ついでに葉も集める。
干し肉を包む用だ。
使いやすい大きさの葉を選びながらまとめていく。
「これくらいあれば足りるな」
だいたい40個分程度。
毎回補充しておけば困らない。
◇
次は川へ向かう。
網を取り出す。
水へ沈める。
少し待って引き上げる。
「……多いな」
魚がかかっていた。
何度か繰り返す。
最終的に魚5匹。
「悪くない」
今日は川の方が当たりだった。
◇
拠点へ戻る。
荷物を下ろす。
「今日は当たりだな」
罠は空だった。
だが、全体で見れば十分回っている。
問題はない。
◇
コウは石を集め始める。
今あるかまどだけでは少し足りないと感じていた。
鍋用。
焼き用。
分けた方が回しやすい。
手頃な石を拾い、拠点まで運ぶ。
また戻る。
もう一度運ぶ。
「……面倒だな、これ」
量はそこまで多くない。
だが、地味に疲れる。
両手が塞がるせいで動きづらい。
途中で落としそうにもなる。
「こういうの、まとめて運べたら楽なんだけどな……」
ふと考える。
荷物を乗せて引く。
そんな道具があれば、一気に運べる。
「……一輪車みたいなのとか」
いや、もっと荷物を積める形でもいい。
干し肉も増えてきている。
薬草もある。
村へ持っていく量も、少しずつ増えていた。
「背負うだけだと限界あるよな」
土を削って形を整える。
木の棒と石では効率が悪い。
「……村行けば、もうちょっとまともな道具あるかな」
ショベルのような物でもあればかなり違う。
少なくとも、今よりは楽になるはずだった。
コウは石を並べる。
土で固定する。
高さを調整する。
「……こんなもんか」
大きくはない。
だが、火を分けられるだけでもかなり違う。
これで鍋と焼きを同時に回せる。
少しだけ、拠点らしくなってきていた。
◇
少し考える。
今日は肉がない。
「魚を使うか」
問題ない。
保存用を残せばいい。
◇
大鍋を用意する。
火を起こす。
まず山菜を入れる。
しばらく煮る。
強いアクが浮いてくる。
湯を捨てる。
「……これをしないと危ないんだよな」
まだ分からない山菜も多い。
だから慎重にやる。
もう一度水を入れる。
今度は魚の皮や骨を入れる。
少し煮る。
魚の匂いが広がっていく。
「……だしは出るな」
そこへ魚の身を入れる。
残っていた野菜も加える。
軽く煮る。
最後に山椒を2粒潰して入れた。
一口食べる。
「……悪くない」
魚の味は出ている。
山椒も効いている。
だが――
「やっぱり塩欲しいな……」
味が締まらない。
それでも食えないわけではない。
今はこれで十分だった。
◇
魚は全部使わない。
3匹は焼いて残しておく。
火の近くへ並べる。
「焼きなら明日まではいけるか」
干し肉ほどは保たない。
だが、何も無いよりはいい。
◇
火を見ながら考える。
「……やること多いな」
頭の中で並べる。
行商。
拠点の整備。
作業場。
保存方法。
道具。
必要なものは増えていく。
「全部は無理だな」
少し考えて整理する。
◇
行商の日でも、朝の確認は必要だった。
罠。
火。
乾燥。
最低限の管理だけは外せない。
逆に、拠点の日は整備へ集中する。
食料確保も無理に詰め込まない。
全部を一気にやろうとすると崩れる。
「……回し方だな」
少しずつ形になり始めていた。
◇
魚は網でも取れる。
だが、毎回張り付く必要がある。
「……罠でいいな」
回収だけで済む形が理想だった。
無理がない。
続けられる。
それが一番重要だった。
◇
少し考える。
「野菜も減ってきたな」
魚はある。
干し肉もある。
食う分は問題ない。
だが――
「塩がない」
結局そこへ戻る。
判断する。
「明日は村だ」
目的は決まっている。
「塩」
それだけで変わる。
「……誰がどう言っても、塩だな」
小さく呟く。
優先順位は決まった。
◇
体を横にする。
火の音を聞きながら、ゆっくり目を閉じる。
「……回るな」
静かに意識が沈んでいった。
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収支表(第9話終了時点)
■開始
干し肉4個
薬草10束
山椒15粒
野菜2束
仕掛り品
干し肉35個(乾燥中)
ルク0
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■完成
干し肉35個完成
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■採取
山椒40粒採取
薬草10束採取
魚5匹捕獲
山菜少量採取
干し肉包み葉補充
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■作成
石組み簡易かまど1基追加
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■消費
魚2匹調理
山椒2粒使用
野菜1束使用
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■保存
焼き魚3匹保存
(翌日程度まで)
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■終了
■在庫
干し肉39個
薬草15束
山椒53粒
野菜1束
焼き魚3匹
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■仕掛り品
なし
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ルク0
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資産表(第9話終了時点)
■携帯資産
■武器
木槍1本
石ナイフ2本
鉄ナイフ1本
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■作業用品
石斧1本
大鍋1個
網1枚
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■衣類・装備
革靴1足
カバン1個
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■食料
干し肉39個
焼き魚3匹
野菜1束
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■素材
薬草15束
山椒53粒
魚骨少量
植物繊維少量
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■運搬用品
簡易袋2枚
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■通貨
0ルク
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■固定資産
簡易拠点1か所
石組み簡易かまど2基
干し肉ラック1基
薬草乾燥場所1か所
簡易罠複数
簡易魚囲い1か所
動物避け用焚火複数




